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376 名前:ハロウィン[sage] 投稿日:2007/10/31(水) 22:37:03 ID:2o9ZVSL5

――バタン。

刹那の抗議も虚しく、玄関は閉じられる。
鍵もしっかりかけられたらしく、刹那はがっくりと肩を落とした。

「・・・・それで、お嬢様はどうしてこんな時間に?」
「今日はハロウィンやったから、遊びにきたん。・・・・迷惑やった?」
「い、いえ! ・・・・お、お恥ずかしいところを・・・・」

刹那が少し赤面しているのは、たるんでいる姿を見られたからか。
しかし木乃香は木乃香で、思いがけない収穫に表情はにこやかだった。

「――くしゅんっ」
「せっちゃん寒そうな格好やなぁ」
「す、すみません・・・・」
「湯冷めしてまうえ。・・・・ウチの部屋いこか」

木乃香は自分が着ていた上着を刹那に羽織らせた。
お風呂上りで放り出されたので、刹那はほとんど何も所持していない。
お財布や部屋の鍵すら置いてきてしまっていたので、結局刹那は木乃香に頼るしかできなかった。

*

「えへへ、せっちゃーんv」
「う・・・・お嬢様・・・・////」

二人しかいない部屋で、木乃香は刹那にじゃれつく。
刹那は困った顔をしていたが、まんざらでもなさそうだった。
二人きりの雰囲気に刹那が慣れてくれば、自然と刹那の腕は木乃香を包んでいた。


377 名前:ハロウィン[sage] 投稿日:2007/10/31(水) 22:38:19 ID:2o9ZVSL5

「皆の前でも、いつもこうしてくれたら嬉しいんに・・・・」
「で、できるはずないじゃないですか・・・・!」
「もう、恥ずかしがり屋さんやなぁ」

そんな所もかいらしくて好き、と木乃香は密着度を高めた。
刹那も抵抗はせずに木乃香に触れる。
じゃれるようなこの触れ合いはしばらく続いたが、次第に木乃香が刹那に体重を預けて力を抜いていった。

「・・・・眠いのですか?」
「うん・・・・でも寝るんはもったいないなぁ・・・・」
「無理はなさらず・・・・」
「うーん・・・・」

あやふやな答え。
そして木乃香はそのまま、刹那の腕の中で大人しくなる。
刹那が覗きこんで見ると、案の定木乃香は眠りに落ちていた。

「・・・・えーと、ハロウィンは・・・・私で満足していただけたのでしょうか・・・・あれ?」

木乃香の寝顔を見ながら、刹那はある事を思い出す。
確かに自分は自分という物?をあげたかもしれないが、自分は木乃香に何かもらっただろうか?
いや、刹那が木乃香から何かをもらうのは立場的におかしいのだが・・・・。
・・・・それでもそれなりの関係であるのだから、何かしら見返りを期待してもいいかもしれない。

「――トリック・オア・トリート・・・・?」

刹那は呪文を唱えた。
魔力も気も込められてない、言の葉だけの呪文。
だが木乃香は目覚めない。


378 名前:ハロウィン[sage] 投稿日:2007/10/31(水) 22:40:26 ID:2o9ZVSL5

「――お菓子をくれないと、悪戯しちゃいますよ・・・・?」

今度はわかりやすいように、日本語での呪文。
それでもやっぱり目覚めない木乃香に、刹那は顔を近づけた。

「これぐらいの悪戯なら・・・・いいですよね?」

眠った魔女に、口付けを。
甘い・・・・と感じたのは、この口付けがお菓子の代わりだったからか。
そう意識した途端、刹那は顔に血が集まるのを感じた。

「・・・・悪戯心でないと・・・・私には無理ですね・・・・」

刹那は一人赤面しながら、木乃香をベッドに運ぶ。
こういったイベント事には疎い刹那・・・・。
しかし、特別な行動に移れるきっかけとしては良い物だな、と意見を改めたようである。

後日、この悪戯に鋭く気付いた木乃香。
そして赤面して逃げる刹那に同じ悪戯をせがんだのは、別の話としよう。


FIN

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