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464 名前:9/13  ◆yuri0euJXw [sage] 投稿日:2008/09/07(日) 22:20:53 ID:99NT2JeF
最近ずっと続いている朝の風景。こうして三人の一日は始まりを告げた。

◇◆◇

刹那と木乃香はそれぞれ胸に秘める想いがあった。でもそれは誰も知らず,誰にも知らせずひっそりと自分の胸の中にだけ留めていた。
それがどういうものなのか二人とも十分に自覚していた。一方は,チャンスを待ち,自分の秘めた想いをどのように伝えようかと画策していた。
もう一方は自分の秘めた想いは自分の胸にのみ留め,誰にも知らせず封印しようと誓っていた。しかし,当初の予定とは大幅に狂いが生じた。
チャンスを待った一人は,一向に恵まれないチャンスに痺れを切らし,酷い焦燥感に苛まれていた。
封印を決意した一人は,自分の中で膨らみ続ける想いに戸惑い,その想いの後ろに見え隠れする自分の邪な欲望と戦っていた。

そんな心理戦が二人それぞれの中で繰り広げられている中で起きた事件がアスナのディープキスだった。
その衝撃的なシーンを目の当たりにした傍観者は全員その場に立ち尽くし,呼吸すら忘れてしまいそうだった。
あまりの衝撃に呆然と立ち尽くす木乃香を背で庇い,無意識の動作で木乃香を守ろうとする刹那。
二人ともわずかに触れ合った部分からお互いを感じつつアスナとネギのラブシーンを凝視してしまった。
はじめて遭遇する鮮烈な情景に二人は動揺を隠せない。早まる鼓動が全身の動きを制限し,微動すら出来なかった。
刹那の背でぎゅっと握り締める手が‥‥,木乃香を庇うために広げられた腕の震えが‥‥,二人の心情を表現するわずかな動きだった。

◇◆◇

ある日の夜,刹那は眠れない夜を過ごしていた。眠れない夜を過ごすことは刹那にとってそう珍しいことではなかった。
修学旅行で木乃香との関係を取り戻した刹那にとって,想像すらできなかった幸せな学園生活が始まった。
しかしその頃から,刹那を悩ませる問題は後を立たない。刹那を悩ませるもの,それは木乃香のことだった。

(‥‥お嬢様は一体どうお考えなのだろうか‥‥。)

修学旅行以来,木乃香の隣は刹那の居場所となった。いつも自然にその位置に立てる。護衛と言う意味でもそこは最も適切な場所だが,
木乃香の刹那に向ける態度は親友のそれ‥。自分の立場も忘れ,幼い頃より想い続けた麗しの親友との語らいに時間が過ぎるのも忘れる。
しかし,二人を隔てた長い時間と距離は,刹那の心の中の木乃香への想いを少しずつ変化させていた。
刹那にとって木乃香は,近衛の長の娘であり,遠い昔,自分の心の傷を癒してくれた大切な幼馴染であり,
自分の命と引き換えにしてでも護らなければならない大切な存在である。しかし,一方で決して表には出すことのできない秘められた想いも存在した。

466 名前:10/13  ◆yuri0euJXw [sage] 投稿日:2008/09/07(日) 23:54:12 ID:99NT2JeF
誰にも気付かれてはならない。木乃香ですら‥。

シネマ村で冷やかされた時には焦ってはいたが,まだそれほど心配することもなかった。それは木乃香との距離を保っていられたから。
けれど,日に日に過激さが増してくる木乃香のアプローチに,何気ないふりをするのにも限界があった。
そして,自分の想いを気付かれてはならないと固く誓うのだった。

(お嬢様は私のことをよく”大好き”と仰って下さる。それはどんな意味でも私にとっては嬉しい限りだ。
ただ,私が”お慕いしています”と返事を返すと一瞬不満そうな顔をなされる。)

ゴロンと寝返りをうって小さく溜息をつく。

(‥‥一体どのような返事をお望みなのだろう。)

胸の内をよぎるのは,ひそかな願望。もしも木乃香が主従としてではなく,友人としてでもなく自分を必要としてくれているのだとしたら‥‥。
しかし刹那は自分の考えを一蹴する。何度そうやって思い巡らせてきたことか。日々の思わせぶりな木乃香の行動が,刹那の決意を揺らがせる。
しかし,木乃香の真実を知らない刹那にとってそれは頭を悩ませる問題にしか過ぎなかった。日々募るフラストレーションが刹那を悩ませる。

(‥‥私は心からお嬢様をお慕いしております‥‥。)

両手でぎゅっと自分の体を抱き締める。

(この手で貴方を抱き締める日が来ることを求めないわけではありません。貴方のその艶やかな唇に‥清らかな体に触れたいと想う私を許して下さい。)

屈託の無い笑顔を向ける木乃香を想像しつつ,眠りにつく刹那。刹那の眠れない夜はまだまだ終わる気配は無かった。

◇◆◇

アスナ達の部屋のバスルームからシャワーの音が聞こえる。木乃香は熱めのシャワーを浴びていた。
充満する湯気がスクリーン代りとなって,そのしなやかな肢体はシルエットだけが映し出された。
鏡に映る自分の体を眺め,同居人ほどではないが,日に日に女性らしさを増す自分の体を見つめる。

467 名前:11/13  ◆yuri0euJXw [sage] 投稿日:2008/09/07(日) 23:54:43 ID:99NT2JeF
(‥‥今日も‥せっちゃんの気持ち‥‥掴めんかったな‥‥。)

ボディーソープを手に取り,泡立て,自分の体に擦りつけていく。きめ細やかな優しい泡に木乃香の全身が包まれていく。

(なんで‥うちのことはぐらかすんやろ‥‥。もっと素直になったらええのに‥‥。)

刹那のことを想うと,自分の体を洗うのにも磨きがかかる。いつでも最上の自分を用意していたいと思うのはちょっとした女性の自尊心からか。
それとも,どんなことをしても自分に傾いてくる気配の無い刹那に対する挑戦か。いずれにせよ,木乃香の意識は刹那に向けられていた。

言葉も時間も共有することは無かったが,中学に入ってから刹那は自分の近くにずっといてくれた。
刹那の立場を知ることの無かった木乃香にとって,昔と異なる一面を見せる幼馴染に当時は困惑したものだった。
しかし,修学旅行のときにそれは杞憂だと知った。何があっても木乃香を護ると言って,護り抜いてくれた幼馴染。
木乃香を護れるように強くなるからと泣きながら誓った幼い姿が,今の刹那の姿と重なる。
一途で純粋で,誠実で,時々見せる情熱的な振る舞いは,幼い頃とまったく代わらない木乃香の知っている刹那だった。

でもいつからか気付いてしまった,自分の心。変ってしまったのは自分のほうだった。気付いてしまった今,幼い頃と同じ気持ちではいられない。

熱めのシャワーを頭からかぶる。全身を覆っていた泡は,音を立て排水溝へ吸いこまれていく。木乃香の気鬱を泡と共に流せたらどんなに楽だろう。

屈託の無い笑顔を木乃香に向ける刹那。身を呈して木乃香を護る刹那。木乃香の不安を癒してくれる刹那。
木乃香は,他にも色々な刹那を目の当たりにしてきた。

目の前にいるのにどうして自分の隣に来てくれないのかという葛藤は,刹那の全てを知ってから掻き消え,代わりに常に自分と共にあるという安心感が生まれた。
そんな刹那を見続けるうちに,気付いてしまったのは友情とは異なる感情。幼き日以来,もともと刹那は木乃香にとって特別な存在だった。それは今も変わらない。
変ってしまったのは時間のせい。もう幼子ではない木乃香と刹那ゆえに‥‥。

(‥‥切ないなぁ。なんで気付いてしもうたんやろ。‥‥うち‥せっちゃんのこと‥‥。)

そっと胸のふくらみに触れる。じんわりとした感覚が全身に広がっていく。この手が刹那の手だったら‥‥。
そう思うと刹那の声が頭の中に響いてくる。幾度と無く繰り返された問答。

468 名前:12/13  ◆yuri0euJXw [sage] 投稿日:2008/09/07(日) 23:55:14 ID:99NT2JeF
『‥‥大好きやで‥‥』
『‥私も‥‥お慕いしております‥‥。』

胸に触れていた手に力がこもる。鈍い感覚が伝わってくる。掌には硬く立った先端の感触を感じる。

(‥‥うちの”好き”と‥‥せっちゃんの”好き”は違うんや‥‥。何回聞いてもそうとしか思えへん‥‥)

熱い溜息をこぼしつつ,奥のほうでジンジンとくすぶっている感覚にあいている方の手が引き寄せられていく。
体の奥にくすぶる熱を開放するために下腹部に手を伸ばそうとした瞬間,ドア越しに同居人の声が木乃香にかけられた。

「木乃香〜。アイス食べるよね〜。」

一瞬木乃香の体に緊張が走る。が,怪しまれないように直ぐに返事を返した。

「う〜ん。うちの分もあるの?」
「これから買ってくるの。いつもので良い?」
「ええで。頼むわ〜。」
「それじゃ行ってくるね。」

慌しくアスナは部屋を出ていく。内心驚いていた木乃香はふぅっと溜息をつくと,ふと冷静になって今の自分を見つめた。

(//////‥‥なにしとんのや。うち‥‥。)

刹那を想って自慰に浸ろうとしていた自分がちょっと恥かしかった。熱めのシャワーを全身に浴び,キュッと栓を占め,大きめのバスタオルに身を包む。
いつまでもこんなやるせない気分でいるわけにはいかなかった。しかし,今の木乃香には,胸の内のもやもやを解消する手立てが無かった。

◇◆◇

試験前になると,勉強の苦手な刹那に木乃香が教えるという構図は珍しくなくなった。場所は様々で,図書室のこともあれば,お互いの部屋のこともある。
試験期間中は二人は一緒というのが,通例になっていた。本日の会場は刹那の部屋ということらしい。

469 名前:13/13  ◆yuri0euJXw [sage] 投稿日:2008/09/07(日) 23:55:44 ID:99NT2JeF
「ここはこうすると解けるんよ?」
「あぁ,なるほど。お嬢様の教え方は本当にわかりやすいですね。」
「ふふっ,せっちゃん褒めてもなにも出てこんよ。」
「そんなんじゃありませんって。私は本当のことを言ったまでで‥‥。」
「じゃ,今度のテストも頑張ってや?悪い点とったら承知せんからね。」
「‥‥‥善処します。」

なんだかんだ言って木乃香は楽しそうに刹那と勉強している。
刹那は一生懸命で,楽しむ余裕はないようだが。
それでもこれだけ一生懸命になれるのは木乃香と一緒だからだろうか。

「ふぅ。これでひと区切りやね。」
「じゃあ。お茶でも入れてきます。」
「ええよ。うちがするから。」
「ダメです。お嬢様にそんなこと。」
「ダメ。うちが入れたいん。」
「〜〜〜。」

木乃香は嬉しそうにキッチンへと向かった。
刹那は仕方なく,テーブルの上を片付ける。
鼻歌を歌いながら慣れた手つきでお茶を用意する木乃香を眺め,刹那は微笑んだ。
京都にいたままでは木乃香とこのような時間を過ごすことなんてありえなかった。
そんな自分の待遇と幸福感を刹那は噛みしめ,手早く片付けるのだった。

「なんや嬉しそうやな。せっちゃん。」
「そうですか?」
「うん。」

テーブルにつき,一口お茶を含むと,木乃香はそう言った。

470 名前:ここで断念したんだYo!  ◆yuri0euJXw [sage] 投稿日:2008/09/08(月) 00:00:21 ID:oK2IE1Zb
お粗末さまです。
465サポありがとうございます。

萌成分を残したままエロが書きたかったので止まってしまったようです。>>自分分析
エロなしでもいいので,ハッピーエンドで終わらせたい!というのが希望です。
読んでくださった奇特なお方,あなたのご意見と妄想をぜひ聞かせてください!!


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