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505 名前:486[sage] 投稿日:2007/09/11(火) 01:08:22 ID:3QJ1LHNO

刹那が挨拶をすると、木乃香も眠そうに目を擦りながらも挨拶を返した。
朝早い教室にはまだ生徒の姿はまばらで、その少ない生徒もだいたいは固まって世間話に没頭している。
窓から差し込む光が心地よくて、ただでさえ眠い木乃香は欠伸をしてしまった。

「ふわぁ〜…やっぱ眠いなぁ」
「睡眠はしっかり取られているのですか?」
「多分取れてると思うんやけど…昨日勉強してたからかなぁ?」
「しっかり休むことも大切ですよ」

穏やかに刹那がそう言う。ついこの間までには無かった会話が確かにそこにあった。
それが嬉しくて、木乃香は自然と笑顔になって頷く。



修学旅行から、1週間ほど過ぎた頃のこと。



506 名前:486 続き[sage] 投稿日:2007/09/11(火) 01:10:52 ID:3QJ1LHNO
幼馴染と再び話せるようになったのはとてもいいことだ。木乃香はそう思う。
話しかけても以前のように避けられることは全く無くなったし
(ボディタッチをしようとすると逃げられたりもしたが、
最近は諦めたのか少しずつ慣れてきているように見える)、
少しずつ、自分のことも話してくれるようにもなった。
昔と違って敬語で話し掛けられるのが少し不満だけれども…そこはある程度
仕方ないのかもしれない。
ともかく、刹那が自分のことを嫌っていない、むしろ好意を抱いてくれていると知って、
木乃香はだいぶ楽になった気がする。
そう素直に伝えると、「お嬢様を逆に苦しめることになっていて、
本当にすみませんでした」と土下座の勢いで謝られた。
冷静でとても大人のように見える刹那も、自分のこととなると顔を紅潮させたり、
焦ったり慌てたりしてくれる。それは木乃香にとってとても嬉しいことだった。
だからこそ、今までの想いが募っていたぶん、コミュニケーションも積極的になる。

「せっちゃーん!午後、ウチの部屋遊び来ーへん!?」
「うあっ!?」

思いっきり木乃香が抱き着くと、刹那は変な声を出してびくりとかたまった。
慣れてきたとはいえ、やはり抱き着かれたりするのはまだ苦手らしい。
逃げ出さないだけでも成長したものだ。

507 名前:486 続き[sage] 投稿日:2007/09/11(火) 01:13:04 ID:VsAWyAVu
「ご、午後、ですか…?」
「そう。今からやー」

今日は午前中授業なので、午後はまったくの自由。何やら明日菜はバイトを
入れてあるとかで、午後はまるまるいない。
となると、刹那と2人で過ごすにはもってこいだ、木乃香はそう考えた。
刹那の部屋に行かせてもらおうかとも思ったのだが、龍宮が居るかもしれないし、
何より刹那が自分を部屋に入れてくれるかどうかの自信がない。
何故かドキドキしながら木乃香は刹那の返事を待つ。

「…す、すみません、今日は、ちょっと…」

「…あー」木乃香は大きくうなだれてため息をついた。
やはり避けられているのだろうか。そんな思いが顔に出ていたようで、
刹那が慌てて両手を振る。

「ち、違いますお嬢様!じ、実は昨夜から少し風邪気味で…!」
「…ほぇ?風邪?」
「はい、ですから、私がお嬢様の部屋に行ってうつしてしまうわけには…!」

風邪。木乃香の落胆は即座に心配へと変わる。

「せっちゃん大丈夫なん!?どこ調子悪いん?」
「え、と…少し身体がだるいくらいなんですが…」
「熱ないん!?」
「へ…」

木乃香は無意識のうちに刹那の頭をかるく引き寄せて、自分の額とこつんと合わせてみる。
前にネギが風邪をひいたときもこうして熱を確かめたことがある。
そんな木乃香には自然な行為でも、刹那にとっては充分すぎるほど衝撃だったようだ。

508 名前:386 続き[sage] 投稿日:2007/09/11(火) 01:14:51 ID:VsAWyAVu
「〜〜!!!」

真っ赤になって刹那が木乃香から離れる。その勢いが良いのなんの、
後ろにあった自分の机に激突して思いっきり背中を打ったらしく、
倒れはしなかったもののへたりこんでしまった。驚いて木乃香が刹那に近寄る。

「だ、大丈夫せっちゃん!?」
「う、あ…」

慌てて木乃香が刹那の目線に合わせてしゃがみこみ、肩に手を置いた。
顔が赤いまま刹那は木乃香から目を逸らす。と、荷物をひっ掴んで
あっという間に教室を飛び出していってしまった。

「すすすみません、失礼します!!」
「あ…」

木乃香が手を伸ばすも、もう教室に刹那の姿は無かった。

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