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513 名前:486 続き[sage] 投稿日:2007/09/11(火) 01:23:23 ID:kRfVJuvo
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「良かったじゃない、木乃香。ちゃんと2人で話ししなさいよ」
「え、ちょ、明日菜さん!?」
「うん、うん…ありがとなぁアスナ〜」
「がんばんなさいな」
木乃香の頭をぽんと叩き、明日菜が部屋を出ていく。
一方刹那は何が何だか理解出来るはずがない。混乱する頭でとりあえず木乃香を慰める。
「お、お嬢様…泣かないで下さいー…このちゃん…」
「…うー」
ひととおり泣きつくしたたらしい木乃香が刹那からやっと離れる。
その目は真っ赤で、刹那はずきりと心に痛みを感じた。
木乃香の横に座り直して、木乃香の頭を撫で続ける。それくらいしか慰めの方法が
思い付かなかったのだ。
木乃香が目をこすろうとしたので、そっと手を掴んで止める。
「このちゃん。視力が落ちてしまいますよ」
「…」
「…えっと、その」
どうしたら良いか分からず、刹那は口籠る。と、木乃香がずいっと顔を突き出してきた。
いつもなら反射的に顔を逸らす刹那だが、今日は真っ直ぐに向いたまま木乃香の目を見る。
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514 名前:486 続き[sage] 投稿日:2007/09/11(火) 01:24:51 ID:kRfVJuvo
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「…逃げへんね」
「逃げませんよ」
「…ウチが近付いたり、手ぇ握ったり、腕組んだり、抱き着いたりしても嫌やないん?」
「い…嫌じゃありません」
「ほんまに?」
ええ、と答えてから、ひとつ息をついて刹那は言う。とてつもなく緊張しているのが見てとれた。
「…まだ、慣れてないのでこのちゃんの望むようなコミュニケーションは
取れないかもしれませんが…構わずにいつでも抱き着いて下さい。
時間はかかってしまうかもしれませんが、必ず受け止めます。
それ、に…このちゃんに抱き着かれるのは、照れるけれど…
私にとってすごく嬉しいことなんです」
「ほんま?」
「はい。本当です」
赤くなりながらも、木乃香から目を逸らさずに刹那が答える。
木乃香はなんだか胸のうちで張り詰めていたものがぷつんと切れて、
再びその目から涙が溢れてきた。
「こ、このちゃん…!?どどうしたんですか!?」
「うっ…堪忍な、なんだか安心したらまた急に泣けてきてもうて…」
涙声で答えて、木乃香はまた刹那に抱き着いた。首に腕をまわして、ぎゅうと抱き締める。
刹那はもう固まっていなかった。おそるおそるといった感じで、そっと木乃香を抱き締め返す。
木乃香は刹那の胸に顔を押し付けたまま、絞り出すように言った。
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515 名前:486 続き[sage] 投稿日:2007/09/11(火) 01:28:16 ID:kRfVJuvo
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「ウチな…すごいせっちゃんのこと好きやから…っ…また話せるようになって
すごい嬉しかって…。…せっちゃんもウチのこと嫌やないって分かって、
すごい安心してもうて…いっつも、困らせてばっかで堪忍な…
今日やって体調悪いのに、ここまで来させてしもて…」
「この、ちゃん…謝らんでよ…」
蚊の鳴くような、消え入るような声で刹那は呟く。
「う、ウチも、大好きやから…このちゃんのこと…」
木乃香の頭に隠れて、刹那の表情は見えない。
だが、相変わらず真っ赤に染まったままの首筋は、
刹那がどういう表情をしているのか読み取るには充分だった。
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