たどたどしく噛みながら刹那が言う。
焦ったように視線を逸らして、また空に浮かぶ月を見上げた。
照れ隠しのように「綺麗ですよね」と呟く。
木乃香ははにかんで、刹那に寄り添った。服越しの熱に刹那が固まるのが分かる。
穏やかな風が吹き、ロウソクの火がゆらりと揺れた。それに気付いた刹那が、まだ赤い顔で言う。
「お嬢様、そろそろ火を消しておいたほうがいいかもしれません…」
「あ、ほんまやな〜。ごみとかに燃え移ったら大変やな」
刹那から身体を離し、木乃香はロウソクの近くに行った。
火を消す前にそばにある花火の包みもまとめ始める。と、何かに気付いたようで手を止めた。
「ありゃ?なんや、少しだけ花火残っとる」
「へ?」
木乃香の手に握られていたのは、区分けされて薄いビニールに入った線香花火。
いつも花火をやるときは最後の締めとして使っていたのだが、今日は最初から落ち着いた雰囲気で行っていたために忘れていたようだ。
木乃香がそれを持ったまま刹那に振り向く。
「せっちゃん。これ、やってまおうか?」
「あっ、はい。そうですね」
「これな、ウチが一番好きな花火なんよ」
せっちゃんも多分好きになってくれると思うんやけど。
木乃香は本数を数え、分けてその半分を刹那の手に渡す。
受け取った刹那が火を灯そうとすると、急に声を上げて止めた。

