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142 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2007/10/09(火) 00:42:04 ID:IW3V2UNM
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愛おしく思う気持ちのままに、あなたを愛せますように。
「…ダメだ、眠い」
根を上げたように呟いて、刹那は後ろのクッションに勢い良く倒れこんだ。
ぼすっと鈍い音を出してクッションは刹那の頭を受け止める。
刹那ははぁっと息を吐いて天井を見上げた。
(…睡眠って大切なんだな…)
昼休みに仮眠でもとっておけば良かった。今更ながらに後悔する。
刹那は今、自室で勉強をしている最中だ。
麻帆良では4日後にテストがあるため、どの教室にも慌ただしい雰囲気が漂っている。
3-Aも例外ではなく、当然刹那もテストに向けて勉強しているのだが。
ここのところ毎晩のように仕事が入ってきていて、勉強だけではなく睡眠の時間まで削られてばかりだった。
今日は久しぶりに仕事が休みなため、今まで出来なかったぶんの勉強を取り戻そうと思ったのだが、睡眠不足が祟って勉強どころではなかった。
頭を働かせようとするのだが、眠気に苛まれてどうしようもない。
「…少し、寝ようかな…」
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143 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2007/10/09(火) 00:44:26 ID:IW3V2UNM
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口に出してみたものの、首を振ってそれを否定する。
今寝たらきっと朝まで寝てしまうだろうし、そうなったらまた勉強出来ずじまいだ。
机の上に広げてある教科書やノートを見る---主に、理科や社会だ。
どうもこの辺の教科がさっぱり分からない。
今のままでテストに臨んだら、間違いなくバカレンジャーに放り込まれるだろう。
それだけは勘弁してほしい。
「…いかん、このままだと」
寝てしまう、と続けようと思ったのだが、その気力さえ出なくなってきた。
普段は自らに厳しくする刹那なのだが、眠気で頭がぼやけているためにそのまま目を閉じてしまう。
(…少しだけなら、いいか…)
2時間したら起きよう。
出来るわけがないと頭の隅で知りつつも、刹那の意識はゆっくりと沈んでいった。
部屋に響くノックの音。
それでも返事がなかったため、木乃香はガチャリとドアを開けて中を覗き込む。
「せっちゃんー?おるー?」
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144 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2007/10/09(火) 00:46:15 ID:3RmeXnek
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カギはかかっていなかったため居るはずなのだが。
返事がなかったことに首を傾げて、木乃香は部屋へと入る。
明かりはついていた。
おかしいなぁ、と部屋を見回すと、机のすぐ横で仰向けに寝っ転がっている刹那。
「ありゃ」
駆け寄って顔を覗き込んでみると、どうやら寝てしまっているようだ。
規則正しい寝息の音。
「せっちゃん?」
木乃香は呼び掛けて軽く身体を揺さぶってみるのだが、刹那は一向に起きそうにない。
「…困ったなあ」
呟いて、寝息を立てる刹那を見下ろす。実は夕食に誘おうと思ってきたのだが。
---刹那もどうせまだ夕食は摂っていないのだろうが、起こすのはさすがに可哀相か。
帰ろうかとも考えた木乃香だったけれど、ふと机の上に散らばる勉強道具が目に入った。
「…理科、に…社会?」
勉強をしている途中だったのか。納得して、刹那はもう一度刹那に目をやった。
勉強している途中で寝てしまったらしい。
(せっちゃん、そういえば勉強難しい言うてたっけ…うっかりさんやなぁ)
せめて、ベッドで寝ていた方がいいだろうに。
運ぼうかとも思ったけれど、木乃香の力では刹那を担いで運ぶことは出来ないだろう。
運ぶ途中で起こしてしまってもあれだ。
とりあえず、ベッドの上にあった毛布をそっとかけておく。
かけた瞬間、刹那は微かに表情を動かし「ん…」と呻いた。
少々どきりとしながらも、刹那の隣にしゃがみこんでそっとその頭を撫でる。
「せっちゃん疲れてたんかな…?」
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145 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2007/10/09(火) 00:47:21 ID:3RmeXnek
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刹那はここのところ仕事づくめだった。
そのことを知っていた木乃香は、寝てしまったことが逆にいい機会なのではないかと思った。
たまには、休息も必要だ。
疲労も自分の力で取り除いてあげられればいいのになぁ。
そんなことを思いながら刹那を撫で続けた。
刹那は相変わらず規則正しく呼吸をしたまま寝ている。
(…せっちゃん美味しそうやなぁ)
刹那を覗き込みながら心の中で呟いた。
いつもは一定距離以上に近付くと照れて逃げ出す刹那も、今は眠ったままだ。
頭を撫でていた手を、そっと頬に移動させる。
温かい、刹那の体温が伝わってきた。
「なぁ、眠っとるときに手ぇ出したらせっちゃん怒るかな…?」
それは、絶対にないだろう。刹那は木乃香に対して怒ることなど決してない。
ただきっと---そのことを知ったときに、哀しそうな顔をするだけだ。
けれど溢れて止められないこの気持ち。
募り積もるだけなら、いっそ。
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