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146 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2007/10/09(火) 00:48:08 ID:3RmeXnek | ||||
頬にのせていた手をゆっくりと動かし、制服に触れさせた。 ---裾のあたりから中に忍ばせる。刹那の熱が、強くなった。 微かに指を這わせると、ぴくりと動く刹那の表情。 だけれどそれは一瞬のことで、またすぐに元のような安らかな顔で眠り続ける。 このまま、進めば---- 「-----やめた」 ぽつりと呟いて、制服の中に入れていた手を抜き取った。 まだ刹那の熱が残っているそれを、自分の頬に触れさせる。 ほんの少しだけ微笑んで、木乃香は刹那を見下ろした。 (やっぱ、そな卑怯なこと出来へんみたいや) とてもとても大好きだから、あなたが哀しむ顔など見たくはなくて。 たとえこの想いが胸に降り積もり続けても、あなたが笑っていてくれれば。 | ||||
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147 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2007/10/09(火) 00:48:41 ID:3RmeXnek | ||||
「…でもな、いつの日かは」 最後にもう一度刹那の頭を撫で、木乃香は立ち上がる。 時計に目をやれば、時刻は7時半。 そして今度は交互に、机の上に散乱している教科書と、久しく使われていなさそうな部屋の冷蔵庫を見た。 「----さて」 何かを決心したように呟くと、木乃香は行動に取りかかった。 「-----ん」 小さく唸り、刹那はそっと目を開けた。 頭がぼんやりする、と目を擦りつつベッドの上の時計に目をやった。 その途端、まさに一瞬にして刹那の顔が青ざめる。 「…4時、20分…」 信じられないというような口調で呟き、もう一度時計を見直した。 だが紛れもなく時刻は朝の4時20分。見れば、窓の外の空もだいぶ明るい。 | ||||
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148 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2007/10/09(火) 00:49:16 ID:3RmeXnek | ||||
(…寝過ごした) なんと中途半端な時間帯に起きたものか。 心底後悔しながら、刹那はゆっくりと上半身を起こした。 結局勉強は手付かずのままだ。 …しかも夕食を摂らないまま寝てしまったため、だいぶ空腹だ。 冷蔵庫の中に何か無かっただろうかと思い返し、刹那はうんざりした。 おそらくまともな食材は入っていないだろう。 「…自業自得とは、このことか…」 思わず呟いて、とりあえず勉強道具を片付けようと机に向き直った。 その途端、刹那は驚いて目を見張る。 「…はい?」 脳内の疑問を声を出してしまってから、まじまじと机の上のものを見直した。 …夢、ではないらしい。 机の上に散々な状態で置いてあったはずの教科書や参考書は、綺麗にまとめられて机の隅に置いてあった。 そして机の中心には、見覚えのない1冊のノートと、何故か茶わんに盛られたご飯、白身魚のムニエル、サラダ、お茶。 (…一体、誰が) | ||||
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149 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2007/10/09(火) 00:50:05 ID:3RmeXnek | ||||
とりあえず、そのノートを手にとって表紙をめくってみる。 1ページずつ読んでみると、それは刹那が苦手としている理科と社会の分野を丁寧にまとめたものだった。 ところどころマーカーやイラストが描かれ、分かりやすくまとめられている。 小さめの、丸い可愛らしい文字。 そしてそれは、紛れもない木乃香の字だ。 「…お嬢様」 勢い良く顔を上げ、目の前に用意されている料理を見た。 皿には律儀に全てラップがかけられている。 刹那が起きないことを悟っていたのだろう。 (…適わないなぁ) 体温が上がるのを感じながら、刹那は胸のうちで呟いた。 どこまでも自分の上をいかれてしまっているようだ。 (---朝一番にお礼を申し上げなければ!) ぐっと拳を握り締め、堅く決意する。 …とりあえず朝食としてありがたく頂いておこう、と思い正座で机の正面に座ると、なんとなく温かみを感じて刹那はそっと自分の頬に触れた。 「…?」 しかし、特に違和感は感じられない。 (気のせい、か)思いなおして、刹那はこれまた律儀に用意されていた箸を手にとった。 | ||||
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