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木乃香の頬を暑さからではない汗が一筋、流れる。
「お…………とう………さ………………」
血の気が引くを通り越し、今にも倒れそうだったのを何とか耐えた。
木乃香の目の前。
詠春が四つん這いに近い体勢で蹲っている。
そしてその周りを取り囲む如何にも屈強そうな僧兵―見知った顔だ…―が数人。
何が起こっているのか、…どういうことなのか。
木乃香にはわからない、わかる筈がない……!

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97 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2008/02/01(金) 21:09:10 ID:VUfel3rD | ||||
***** 木乃香の頬を暑さからではない汗が一筋、流れる。 「お…………とう………さ………………」 血の気が引くを通り越し、今にも倒れそうだったのを何とか耐えた。 木乃香の目の前。 詠春が四つん這いに近い体勢で蹲っている。 そしてその周りを取り囲む如何にも屈強そうな僧兵―見知った顔だ…―が数人。 何が起こっているのか、…どういうことなのか。 木乃香にはわからない、わかる筈がない……! | ||||
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98 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2008/02/01(金) 21:10:12 ID:VUfel3rD | ||||
***** 門を開け屋敷へと続くよく整備された砂利道を歩く。 とにかく話をしようと父の部屋を叩いた。 返事が無いので近くにいた屋敷の者に聞けば風邪を拗らせ伏せっているとのこと。 自室で待とうとしたが、部屋は長らく入っていないので片付けていないとの理由から二階の客間に通される。 すぐに父の見舞いをしたかったのだが、突然帰ってきた木乃香に屋敷はちょっとした騒ぎとなり、それどころではなくなっていた。 大袈裟なのは相変わらずなようで溜め息が漏れる。 …夜。 なかなか寝付けなかった木乃香は月でも見ようと障子を滑らせ、月明りの照らす廊下に足を出した。 春とは言え夜は少し冷える。 部屋に戻り軽く上を羽織り、ぼんやりと月を眺める。 ―朧月夜だった。 どんな順序を立てて話そう。 …風邪、もう良いだろうか。 色々なことが今夜の月のように霞んではぼやけ消えていく。 手摺にやや身体を預け、今居る二階から広がる景色に目をやった。 手入れの行き届いたきらびやかで豪華な日本庭園を羨む者は多いが、そんなものより木乃香は平凡が欲しかった。 自分が平凡な生まれであれば、きっと今よりは……… | ||||
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101 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2008/02/01(金) 22:43:01 ID:VUfel3rD | ||||
「………………?」 人の声が聞こえた気がして、木乃香は歩みを進めた。 「…………せっちゃん……………?!」 どうして、と聞く前に口に手をやられ驚く。 刹那の顔は……強張り震えていた。 「…御無礼をお許しください、 ですが今は………………お静かに、……お嬢様」 徒ならぬ気配を察し、仕草でひとまず部屋へと招き入れる。 刹那は部屋に入ってからも震えていた。 何があったのか、聞きたくとも聞ける雰囲気では到底ない。 「…えい………しゅ………」 「………え?」 「詠…………春…………さ、ま、が……………」 傍らの夕凪に縋るように刹那が絞り出した。 | ||||
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