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93 名前:83[sage] 投稿日:2005/12/29(木) 22:21:41 ID:8q3dyAKV
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「助けて・・・ぇ、せっ・・・・ちゃぁ・・・ん」
苦しそうなお嬢様の声。
それを聞いた瞬間に携帯を投げ捨て、愛しい者が待つ場所へと急ぐ。
(おのれ・・・一体何者だ・・・お嬢様に手をだすなど・・・・断じて許さん!)
怒りに震えつつも寮へと光のような速さで現場へと向かう。
一方、当事者はと言うと
「ふふふ・・・慌てて来るんやろうな・・・せっちゃんw」
さっきの電話は当然作り物。
刹那が死ぬ思いで急いでいるというのに、そのお嬢様は寛いであくびを一つ。
と
「おじょうさまぁっ!」
ドアが開く音と風の音と何故か凄まじい爆音。
バーンという登場音がピッタリな感じ。
刹那はそのまま靴で部屋に上がりこむと根っころがるお嬢様を見て思考回路がストップする。
え?あれ?え、え、え?
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94 名前:83[sage] 投稿日:2005/12/29(木) 22:22:23 ID:8q3dyAKV
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「・・・・・・・・あの?」
「遅いぃ〜せっちゃぁ〜ん」
「お・・・・襲われてたのでは・・・・?」
とりあえず状況整理だ状況整理、お嬢様から電話があって詰まったような声で
自分に対して助けを求めてその上何かを言いかけて切れて・・・・
そして結論、ああ、そっか、いたずら電話だったんだ、はめられたんだ、と
当然ながら刹那のような人間をからかったらその相手は一瞬でこの世から消されてしまうだろう。
しかし今回の相手は刹那が人生を掛けて護衛するべきお嬢様―――近衛 木乃香その人である。
無邪気に笑うその人を、自分が本当に好きなその人に、怒りをぶつけるなんてコトは刹那には出来る筈が無かった。
少し悲しみに暮れる刹那、そしてそんなコトを気にしないで笑う木乃香。
刹那はぼーぜんとその場に立ち尽くすしか選択肢が無かった。
突然に長い静寂が訪れた―――――。
この雰囲気はまずい、仕掛けた木乃香も俯いて反省の色を伺わせている。
刹那も、何か言わなければ、と思っても口は堅く重く、言葉なんて出やしなかった。
しかしその静寂を先に破ったのは木乃香だった。
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95 名前:83[sage] 投稿日:2005/12/29(木) 22:23:33 ID:8q3dyAKV
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「せっちゃ・・んはウチに・・・腹・・・立て・・てる?」
泣きじゃくり、すすり声ながらも言葉にする木乃香。
「そんな訳ないじゃないですか!だって・・・そんなのありえません!」
刹那の目からも自然に涙が零れ落ちてくる。返事も喚く様に叫んでみせた。
次の瞬間には全身から力が抜けていき、刹那もその場にへたり込んでしまった。
もう泣くしか無かった。
泣いて泣いて―――これでもかというくらい泣いて―――
泣きつかれた頃に、唐突に木乃香が刹那へと近づいていく。
「なぁーせっちゃん・・・・ぐすっ・・・仲直りの・・・ひっ・・キス・・・せぇへん・・・?」
自然と木乃香からそういう台詞が出た。
もう木乃香自身も何を言ってるのか分からなくなっていた。
お互いのじりじりと縮まっていく、もう目の前にこのちゃんの顔がある。
うっとりとした眼、赤らんだ頬、何かを求める唇。
刹那はそれに応えるかのように―――――口付けをしてみせる。
二人を止めるものは何も無かった、刹那は優しく抱きかかえ二段ベットの下へこのちゃんを静かに下ろす。
どうやら明日菜はまだ、買い物から帰っては来る気配は無い――――――――。
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96 名前:83[sage] 投稿日:2005/12/29(木) 22:25:06 ID:8q3dyAKV
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「なぁ、せっちゃん・・・」
「何?このちゃん・・」
「ウチのこと・・・・好き?」
「勿論・・・・好きです」
「嫌いに・・・ならへん?」
「絶対に・・・・・なりません。」
そう言って確認のキスをする。
今日はもう何度目か、数え切れない程のキスをまた交わす――――
麻帆良の冬は、ある部屋を除き、更に冷え込んで行く―――。
積雪が増し、豪雪で前の見えない明日菜は未だ、帰れそうにないようだ。
その後、刹那と木乃香が助けに行ったときの話は機会があればとしよう。
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