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453 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2006/02/21(火) 23:03:10 ID:mbvKitk4
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登校した時から気付いてはいた。
何となくいつもと違う空気と、校舎内に漂うほのかな甘い香り。
しかし、ソレだと言うコトに私は今の今までわからなかった。
「お早う セツナ。丁度良い所に来たな。」
教室に入る手前で呼び止められた。振り返ると両手にいっぱいの紙袋を握った
龍宮がいた。中にはリボンでラッピングされた小箱がいくつも入っていた。
『・・・?龍宮は今日誕生日だったのだろうか?』
「いくつかもらってやってくれ。私一人では処分しきれん」
色とりどりの包装紙に包まれた小箱を紙袋と共に渡された。
「気持ちは有難いが、こうチョコレートばかりもらっても早々食べれるもんじゃないよな?」
「ちょこれーと?」
まぬけな顔をして聞き返していたに違いない。龍宮は呆れた顔をして私を見返す。
「世間に疎いにも程があるな。おい セツナ。今日はバレンタインデーだぞ?」
「!!・・・バレンタインデー!!??」
今まで全くと言って良い程、関係のないイベントの名を出され、私はようやく納得した。
・・・と、それと同時に自分がしてしまった失敗に気付き慌てふためいた。
『・・・用意していない・・・』
「その顔だとお前の大事なお嬢様に渡すチョコを用意してなかったな」
自分の身体に纏わりつく甘い香りに脳が刺激される。
不覚だった。コノカお嬢様はこういうイベント事が大好きなのだ。
私が忘れていたことを知ったらどんなにガッカリするだろう。
『あ・・・!!』
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454 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2006/02/21(火) 23:04:28 ID:mbvKitk4
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ふと思いついた考えに、身体が素早く反応した。
くるっと向きを変えて教室の中へ呼びかける。
「アスナさんっ!!」
呼んだ人物は教室の中におらず、代わりにいいんちょさんの声が返ってきた。
「お早うございます 桜咲さん。アスナさんなら今頃職員室の前をウロウロしておりますわ。
高畑先生にチョコを渡すんだとかハリキッて出て行きましたが、きっと放課後まで
渡せないままですのよ。毎年そうなんですの。
私?もちろんネギ先生にお渡ししますとも!ネギ先生には・・・・・・」
喋り続けるいいんちょさんの声は途中から耳に届かなかった。
頼りの綱を切られてしまい、しばらく呆然と立ち尽くしていたが、やがて金髪の
後姿が頭の中に浮かんだ。
『彼女なら・・・!!』
予鈴が鳴っているのも気にせず、私は廊下を走り出した。
「ちょっと!桜咲さん!?予鈴が鳴ってますのよ?どこに行かれますの!?あぁっ!!
廊下を走ってはいけませんわよー!!」
後ろからいいんちょさんが叫んでいたが振り返らなかった。
後は龍宮が何とかしてくれるだろう。また1つ彼女に貸しを作ってしまった。
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455 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2006/02/21(火) 23:05:42 ID:mbvKitk4
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屋上へと続く狭い階段を上り、鉄の扉を開けるとまだまだ春には程遠い冷たい風が
頬に突き刺さった。
『こんな寒い中屋上にいるのだろうか・・・』
「・・・くしゅん」
ふと小さなくしゃみが聞こえ、目を向けると長い金色の髪を風になびかせた彼女がいた。
「大丈夫ですか?マスター」
主人を心配そうに見つめる茶々丸も一緒だ。
「ズズ・・・さすがにこの時期は寒いな」
鼻をすすりながら答える少女は、私の気配を察しこちらを向いた。
「セツナじゃないか。どうした?こんな所に何の用だ?もうHRが始まっているであろう?」
以前と比べれば幾分柔らかくなった瞳で、私を不思議そうに見つめる。
「エヴァンジェリンさん。西洋にいた貴女に伺いたいことがありまして・・・あのっ・・・その・・・」
勢いで来てしまったものの、彼女を前にして私は質問を投げかけるのを躊躇った。
柄にもないことを口にするのはいささか恥ずかしい。
「なんだ?申してみろ」
じっと大きな瞳で見つめられる。
私は彼女のこの瞳(め)が苦手だった。苦手・・・というよりむしろ、好んでいるが上に
見つめられると平常心を保てなくなってしまうのだ。
そんな私を彼女はいつも楽しんでいるようで、いつもなかなか目を逸らしてくれない。
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