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509 名前:星に願いを・・・[sage] 投稿日:2006/02/27(月) 18:54:13 ID:xZ7np3BW
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気が付くと見慣れた家の前に佇んでいた。
「?セツナか 何の用だ?」
振り向くと家の主、エヴァンジェリンさんと茶々丸さんがいた。
「・・・っ!!」
気が付くと私の瞳(め)からは涙が溢れて止め処なく流れていた。
オロオロするエヴァンジェリンさんに連れられ、家の中で茶々丸さんが入れてくれた
紅茶を飲むと、涙はようやく止まってくれた。
私は・・・この人たちに弱いのかもしれない。
気が緩んだのか、悩み事を全て打ち明けた。私よりもずっとずっと長く生きている彼女なら
何か諭してくれると思っていたのだ。
エヴァンジェリンさんは全て聞き終えるとゆっくり頷いて、戸棚の中から小さな小瓶を持ち出した。
「何と交換するか?」
ニヤ〜っと口に端を持ち上げ、彼女は言った。
「えっ・・・!?」
「数時間だが性転換できる魔法薬だ」
「次の日曜、私に付き合え」
ポカンと口を開けている私に、勝手に条件を提示して薬を無理やり飲まされた。
気管に詰まってゴホゴホと咽る私は次第に意識が遠くなり、ソファへと倒れこんだ・・・。
『何が起こるのだ・・・ろう・・・』
そこで記憶は切断されていた。
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510 名前:星に願いを・・・[sage] 投稿日:2006/02/27(月) 18:55:31 ID:xZ7np3BW
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目を覚ますとエヴァンジェリンさんはソファに寝転んで絵本を読んでいた。
ソファから起き上がると気配に気付いたのか彼女が顔を向けた。
「なかなか似合うじゃないか」
ニヤニヤしながら私を見つめる。記憶を辿ってみてようやく自分に起こった事態を思い出す。
「く・・・薬っ!?」
「ほぅ、声まで変わるのか。立ってみろ」
言われるままに立ち上がると、目線がいつもより高い気がした。茶々丸さんより少し低いくらいだ。
ふと視線の先にある窓を見て私は心臓が跳ね上がった。正確に言えば、窓に写った自分の姿を見て・・・だ。
これが・・・自分なのだろうか?まったく別人のような姿に、シゲシゲと見入った。
唯一、細い眉と釣り目が以前の面影がある位だ。
「なかなか美少年だな。近衛 木乃香も喜ぶであろう。なぁ?」
丁度その時、ドアがゆっくりと開いた。
「こっ・・・このちゃん!?」
そこにいたのは紛れもない、コノカお嬢様だった。
「えっ・・・誰や?うちの知り合いかえ?」
きょとんとしてお嬢様は私を見上げる。
『そうか・・・この身長差だとお嬢様は私を見上げるのか・・・』
「私です、お嬢様。セツナです」
ニッコリと微笑むがお嬢様は硬い表情を崩さない。
「せ・・・っちゃん・・・?」
口には出して私の名を呼ぶものの、いつものように笑顔を私に向けてはくれない。
「これが私の願い事です。お嬢様と普通の恋人同士になりたかったんです!」
びくっとお嬢様の身体は強張った。
「い・・・いやや。大きい声出さんといて・・・」
目にはうっすら涙が溜まっている。
『な・・・ぜ・・・?』
「普通の恋人ってなんや?うちは・・・うちは今までのせっちゃんが好きなんや。
男とか女とか関係あらへん。うちはせっちゃんが好きなんや!」
お嬢様はポロポロと涙を零し始めた。
「お嬢様・・・」
お嬢様の泣き顔に胸がズキズキと痛んだ。全て自分の独り善がりだったのだ。
『お嬢様はっ・・・お嬢様はありのままの私で良いと言ってくれたのに・・・』
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511 名前:星に願いを・・・[sage] 投稿日:2006/02/27(月) 18:56:39 ID:xZ7np3BW
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「ごめ・・・ごめんな、このちゃん・・・」
気が付くと私は元に戻っていた。
後で聞いた話によると、今回の魔法薬はエヴァンジェリンさんの試薬で姿は
数時間もモタナイこと、そして涙と共に元に戻ってしまうことがわかった。
エヴァンジェリンさんは魔法薬の弱点の多さに困っていたが、私にはもう関係なかった。
今までの・・・女の子の私をお嬢様は好きだと言ってくれた。
悩み事は今までより少し減った。ナンパされても良いではないか。
私がお嬢様を守ってあげれば良いのだ。
隣でニッコリ微笑むお嬢様が何よりも愛おしかった。
「あっ・・・流れ星や!」
夜空を見上げてお嬢様が声を上げる。
手を組み、目をぎゅっと瞑ってなにやらブツブツ言っている。
「・・・何をお願いしたんですか?」
お嬢様は片目を開けて、私を見た。ウインクした目がとても可愛い。
えへへ と笑った後、お嬢様は人差し指を口に当てた。
「《せっちゃんとず〜っと一緒にいられますように!》って言ったんや!
お星様とせっちゃんとうちだけの秘密や!」
−END−
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