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36 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2006/06/12(月) 21:32:15 ID:tGpiYo7D



『どこにいても何をしていても、私はお嬢様を…
―想っています』

せっちゃんがそう言ってくれたのは昨日の夜のこと。

駄々をこねるウチを優しく抱きしめて、耳元でそっと…小さな声で。

涙が零れたのはどうしてなんだろう?
ほんの少しでも、離れるのがイヤだったから?




「…せっちゃーん?」
「?!
お嬢様?!」

夜。
前を歩くせっちゃんに声を掛けたら、ひどく驚いた返事が返ってきた。

「こんな夜更けに何をしていらっしゃるのですか?!
風邪を引きます、早く寮へ」

「そんなん言うたらせっちゃんかて、風邪引くえ?」

「私は鍛えていますから風邪などは…
さ、戻りましょう?私も稽古が終わったらすぐ戻ります、から…」


37 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2006/06/12(月) 21:33:46 ID:tGpiYo7D


そう言って引く手をぎゅぅ、と握り返す。

数歩して、立ち止まった。

「…?
お嬢様?」

「………」

「お嬢、様…?」
せっちゃんが顔を覗くように屈んだ。

そしてすぐに、涙に気付かれる。

「お、お嬢様?
どこか痛いのですか?!あ、歩く速度が早かったですか?え、えっと…」

慌てふためくせっちゃんに、ただポロポロ涙を零すウチ。
端から見たら変な二人、と思った。

「どこも痛くなんかないし…
あ、るくのも…早ないえ…」

「そう、ですか…
では…どうされましたか?」


38 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2006/06/12(月) 21:35:17 ID:tGpiYo7D


暫しの沈黙。

あぁ、せっちゃん困ってる。
昼間は付きっきりでウチの傍にいるせいで、だからわざわざ夜中にこうして稽古しとるんに…

邪魔、ばかりしてる。
困らせてる。

こんな自分…大嫌いなのに。
困らせたい訳じゃないのに


微かな泣き声だけが、静寂の中に在る。

頭に、手が触れるのを感じた。
上を向くと、月明かりに照らされた優しく微笑うせっちゃんの顔。

「私は…ここにいます。お嬢様、あなたの傍に」

「………うん」

「私は此処に居ます。
だから…、お嬢様が何故泣くのか、聴くことだって…出来るんですよ」


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