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233 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2006/08/08(火) 00:15:48 ID:Dz8XRzuU
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下校時間も迫り人がまばらになった麻帆良学園の昇降口で一人の少女が雨宿りをしている。
少女の名前は桜咲刹那。
部活の後、教室に忘れ物を取りに行ってしまったが為に、彼女は夕立に遭遇してしまった。
「こんな天気の日はあの時の事を思い出してしまうな……」
刹那はそう呟きながら時々稲光が見える真っ黒な空を見上げた。
数年前、少女は親代わりの剣の師匠に連れられて京都のとある山奥にある大きなお屋敷に訪れた。
少女はそこで一人の女の子と出会った。
その女の子の名は近衛木乃香。
少女の生まれて初めての友達である。
二人には友達が居なかった。
少女は生まれが特別だった為。
女の子は山奥のお屋敷で大切に育てられた為。
そんな二人は出会ってすぐに仲良くなった。
女の子は屋敷から離れる事ができなかった。
だから二人が遊ぶのは少女が女の子の屋敷へ行く時だけ。
そんな限られた条件下でしか遊ぶ事ができなかった。
だから少女は師匠が女の子の家に行く時は必ずついて行くようになった。
女の子も少女が来るのを楽しみにしていた。
そして、少女が女の子の家に来た時は、日が暮れるまで思いっきり遊ぶのが二人の楽しみになっていた。
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234 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2006/08/08(火) 00:16:29 ID:Dz8XRzuU
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そんなある日の出来事。
二人は最近庭で遊ぶだけでは物足りなくなり、女の子のお屋敷の周りではあるが、山の中を探検するのが日課になっていた。
そして、その日は山の中でかくれんぼをしていた。
「このちゃ〜ん! どこにおるん〜?」
女の子が隠れて少女が鬼。
少女は女の子を呼びながら山の中を探していた。
女の子は近くにある大きな岩の陰に隠れながらその様子を見ていた。
しばらくそのまま様子を見ていたが、女の子は辺りがだんだん暗くなってきている事に気が付いた。
「暗くなってきてもうた……」
女の子は小さく呟くと空を見上げた。
太陽は雨雲によって隠されてしまっていた。
女の子は自分を探している少女の元へ近づいていった。
「せっちゃ〜ん! 雨降ってきそうやからお屋敷かえろ〜」
「うん…… そやね」
女の子の提案に少女は少し不安そうな表情で空を見上げながら同意した。
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235 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2006/08/08(火) 00:17:00 ID:Dz8XRzuU
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女の子と少女の二人は雨が降り始める前にお屋敷に戻ろうと急いでいた。
ゴロゴロゴロ……
しかし、辺りはあっという間に真っ暗になり、遠くのほうでは雷の鳴る音が聞こえ始めた。
ポツ…ポツ……
空から落ちてくる水の粒が地面に黒く跡を作り始める。
「あ、せっちゃん! あそこで雨宿りせぇへん?」
「そやね。 ほな急ごう! このちゃん」
家路を急ぎつつも雨が降り始めてきた為、女の子はお屋敷へと続く道の途中にある休憩所を指差して言った。
少女も同じことを考えていたようで、その提案に頷くと女の子の手を取って走る速さをあげた。
休憩所に向かって走っている間、女の子は不思議なことに気が付いた。
雷が鳴る度に、女の子の手を握る少女の手に力が入っているようなのだ。
女の子は休憩所に着く頃、少女のその行動の意味に心当たりができた。
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