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236 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2006/08/08(火) 00:17:37 ID:Dz8XRzuU
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休憩所に到着して、あがっていた息が落ち着いた頃を見計らって女の子は少女に話しかけた。
「なぁ、せっちゃん。 せっちゃんって雷苦手なん?」
「そ、そんなことあらへ……」
ゴロゴロ……ドーーーーッン!!
少女が言葉を紡ごうとした時、真っ暗だった外が一瞬だけ晴れている時のように明るくなり、
その光に呼応するかのように落雷の音が響き渡った。
「ッ!?」
「ヒャッ!?」
雷の苦手ではない女の子でさえビックリするような大きな音。
少女は相当ビックリしたようで、驚いた拍子に女の子に抱きついてしまった。
少女は女の子に抱きついたままガタガタ震えていた。
そう…… 少女は雷が苦手だった。
女の子はいつもと違う少女の意外な一面を見て、少女を守ってあげたいと思った。
「大丈夫やよ。 ウチも一緒に居るんやからこわないよ」
女の子は震えている少女の頭を撫でながらにっこり微笑みかけた。
「ぅ、うん……」
少女もぎこちないながらも顔を上げて笑い返した。
雷が鳴っている間、女の子はずっと震えている少女の頭を撫で続けてあげた。
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237 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2006/08/08(火) 00:18:27 ID:Dz8XRzuU
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雷が鳴り止み、雨もあがり、ようやく外が明るさを取り戻した頃、女の子は休憩所の中から外を見ていてあることに気付いた。
「あ! せっちゃん、虹出とるよ」
女の子は空に架かる七色の橋を見つけて楽しそうにしている。
そんな女の子を見ながら、少女は小さく呟いた。
「このちゃん…… ウチ、もっとつようなるからね……」
「せっちゃん、今なんか言うた?」
幸か不幸か、少女の決意は女の子には聞こえなかったようだ。
少女は少し考え、笑いながら
「『さっきはありがとう』って言うたんよ」
「いつもはウチがせっちゃんに守られてばっかりやから、今日はウチがせっちゃんを守ったんや!」
少女は本当のことを言わなかった。
きっと、この時は女の子に内緒で強くなりたいと思ったからだろう。
「せっちゃん、外出てみーへん?」
女の子は笑顔で少女に手を差し伸べる。
少女は差し出された手を握って、女の子に引っ張られるままに休憩所から出た。
「わぁ…… 綺麗やねぇ……」
外に出て虹をちゃんと見た少女の感嘆に女の子はにっこり笑った。
「ほな、まだお日さま出とるし、虹見ながらゆっくり帰ろか」
その日、少女と女の子の二人は手を繋いだままのんびりと山の中を散歩しながらお屋敷に帰った。
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238 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2006/08/08(火) 00:19:13 ID:Dz8XRzuU
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「そういえば、私が雷嫌いを克服しようと思ったのはあの時だったなぁ……」
刹那は誰も居ない昇降口で、雨宿りを続けながら昔の事を思い出して懐かしんでいた。
あの時の雷嫌いの少女は、当時の少女の家であった道場に帰ると同時に師匠に雷を克服したい事を告げた。
修行を続けた少女は見事に雷を克服し、今では雷の技を使いこなすほどである。
「あれ? せっちゃん傘持ってへんの?」
突然後ろから掛けられた声に刹那は後ろを振り返った。
「はい。 夕立は予想外でしたから……」
刹那は木乃香の護衛。
その為、木乃香がまだ校内に居る事を知っていた刹那はそれほど驚かなかった。
もし、木乃香が寮に帰っていたのなら、刹那は雨宿りなどせず、雨が降っていようと構わずに帰っていただろう。
木乃香は鞄の中から傘を取り出そうとしながら、外の様子を見てその手を止めた。
雷の光と音の間隔がだいぶ開いているとはいえ、まだ雷は完全に過ぎ去ったわけではなかった。
そんな雷を見て木乃香もまた刹那と同じ事を思い出した。
木乃香は刹那の隣まで来ると、何も言わずに刹那の手を握った。
「お嬢様……?」
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239 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2006/08/08(火) 00:19:57 ID:Dz8XRzuU
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「ウチも傘忘れてもうたみたいや」
木乃香は折り畳み傘を常に鞄に入れていた為、その日もちゃんと持ってきていた。
しかし、刹那との思い出を思い出した木乃香は嘘をついた。
刹那と一緒に小さい頃の思い出に浸りたかったから。
「なぁ…… せっちゃん、小さい頃にも今日みたいな雷の日に一緒に雨宿りしたん覚えとる?」
「ええ。 ちょうどさっき思い出してました」
「雷恐がっとるあん時のせっちゃん可愛かったえー」
「お、お嬢様!? は、恥ずかしいのでそれ以上は思い出さないでください……」
木乃香は刹那をからかい、刹那は恥ずかしさから俯いてしまう。
「なんや、今日ってあん時みたいやね」
「そう…… ですね……」
刹那は顔を上げて空を見上げた。
空にはまだ稲光が見え隠れしていた。
二人はそのまま雨宿りを続け、雨が止むまで小さい頃の話に華を咲かせた。
「雨、止みましたね。 そろそろ寮へ帰りますか?」
「そやね〜」
二人は寮へと向かって歩み始めた。
あの日のように手を繋いだまま、のんびりと。
-end-
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