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709 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2006/12/24(日) 23:25:40 ID:b8mgno0v
1


12月24日、クリスマスイブ。

世間は正にクリスマスムード一色で、街にはきらびやかなイルミネーションが溢れ、楽しげな音楽が道行く人の耳をくすぐる。

でもクリスマスだから、と言って特別何か変わったことがあるわけじゃない。
お祭り好きなクラスメート達が何やらわいわいしているというだけの話で、私にとっては、ただの平穏な一日。
代り映えしない一日。

―の、筈だった。




*********




「せ〜っちゃんっ」

ドアの開く音と同時に声が聞こえた。

それはなんだか妙に楽しげな、浮ついたものに聞こえて私は声の主の顔を見上げた。

「せっちゃんこないなトコ座り込んで何しとるん?」

とことこと私の元に歩み寄るお嬢様と卓上のノートや資料集を交互に見やる。

710 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2006/12/24(日) 23:29:00 ID:b8mgno0v
2


「あ、お嬢様…
いえ、冬休みの課題を片付けてしまおうかと思って…」

何分勉強は苦手なもので、一夜漬けでどうにかなるものではないからなぁ、と内心で付け加える。
返答を聴きながら「そっかぁ…」と呟きお嬢様は机を挟んで私の目の前に腰を下ろした。

「な、せっちゃん」

「はい、何でしょう」

「その宿題…、2日あれば終わるで?」

「お嬢様はお出来になりますからね。
私では何日かかるか」

自嘲混じりの苦笑を返す。

「せっちゃんおべんきょ苦手やもんな〜」

頬杖ついて笑うお嬢様に暫し見惚れた。

ああ、私は心底このヒトが好きらしい。こういう何でもない瞬間に改めて想う、あなたが好きだと。

711 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2006/12/24(日) 23:31:36 ID:b8mgno0v
3


「…せっちゃん?」

「ははははははいッ!!」

「どないしたん、顔赤いで?
風邪引いたんとちゃう?ノロウイルス?」

「い…いえ…」

脳内でポエムが暴走していましたとは口が裂けても言う訳にはいかない。
心拍数の上昇を誤魔化す為に私は眼前の敵、即ち数Uの教科書に視線を落として滑舌の悪くなった口を開く。

「お嬢、様…は、もう課題は済ままませてしまわれたのですか?」

「あは、そんなんまだに決まっとるやんかぁ。
まだまだお休み続くんやし急ぐことないえ〜。
…そういえば、たつみーと楓さんおらへんね?」

「あの2人なら出かけています。何でも黒ゴマプリンの新作が出たらしく」

「なんか案外おもろいんやね、あの2人…

…てことはせっちゃんひとりさみしくお留守番や?」

「はは…、そうなりますね」

頭を掻きながらそう言うと、お嬢様はすっくと立ち上がり突然私の真横に座った。
そのまま頭を私の右肩にぽすっと乗せる。
きれいな黒髪から甘い匂いが漂う。

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管理人:虚武僧
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