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712 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2006/12/24(日) 23:34:18 ID:b8mgno0v
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まるで全神経が右肩に集中したかのように体が硬直して動けなかった。

握り締めていたシャーペンが手指を離れ、ころころと机から転がり落ちる。

「…せっちゃん」

お嬢様が私の名を呼ぶ。
そして返事を待たずにもう一度。

「キス、しようか」

725 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2006/12/25(月) 23:31:57 ID:EEqVlHc5
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口がぱくぱくするだけで言葉が声になって出ていかない。全身の体温が急激に上昇していくのが自分でもわかった。
辛うじて動いた右手指以外は相変わらずぴくりともしない。
右肩が異様に熱い。

―今、お嬢様はどんな顔をしていらっしゃるのだろう?

全神経に命じて何とか返事なり対応なりをしなければ。
そう考えれば考える程へたれの私の顔の赤さが増してゆく。

時間にしたらせいぜい2、3分のことだったのだろうが私にはそれが悠久に感じられた。

沈黙をやぶったのはお嬢様。

「くっ」と声がしたかと思ったら急にお嬢様がくすくす笑い出した。

726 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2006/12/25(月) 23:34:05 ID:EEqVlHc5
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「…ふぁ?」

お嬢様が思いがけず笑い出したので何とも間の抜けた声が出てしまった。それを聞いて更に笑うお嬢様。

「イヤやわせっちゃ〜ん、ウチ冗談のつもりやってんにほんとにまっかっかになるんやもん」

「じょ、じょだ…」

「堪忍な〜」

片手で口元を軽く押さえながら笑うお嬢様を見てようやく自分がからかわれたことに気が付いた。
ガチガチに絡まった糸が解けるように緊張が少しずつほぐれてゆく。

安心したような、少し残念なような―複雑な気持ちだった。「ちょっとイタズラしてみよ思てな」

そう言って多分まだ少し赤いであろう私の頬をつん、と指でつつく。

727 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2006/12/25(月) 23:36:57 ID:EEqVlHc5
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「今日、イブなんやねえ」

窓からの明るい陽射しが小さく呟くお嬢様を照らす。

―イブ、か。
まあ私には関係のないことだ。

「私はあまり縁がありませんでしたが」

「ふふ、なんやそれもせっちゃんらしいなぁ。
クリスマスゆうたら何やろ?ケーキとかチキンとか…
あ、あとサンタさんやな!」

「物品を配り歩く好好爺ですね?」

「…それ微妙に違う思うよ」

自分の『さん太』に対する最高の知識だったのだが、どうやら違うらしい。
私はどうも年中行事に疎くていけない。少し勉強するようだろうか。

「クリスマスはなー、ずっとほしかったものもらえる日やで〜?」

「そうなのですか?」

「せやからー、」

お嬢様がそう言ってからほんの数秒後。

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