『最近頓に周囲の状況に追い詰められているような気がします。色々と』by刹那
「せっちゃん、待たせてごめんなー」
軽くはだけた浴衣の襟。上気し、薄紅に染まる頬。
風呂上り、濡れた黒髪も艶やかに、微笑むお嬢様が近づいてくる。
床に敷かれた座布団の上、座した私はその艶姿から目が離せない。
気がつけば、すぐ隣には腰を下ろしたお嬢様。かすかに触れた肩から伝わる肌のぬくもり。
漂う香りは、シャンプーのものか、それともお嬢様自身のもの?
振り向く笑顔と目が合って、気恥ずかしさから思わず視線を下に逸らせてしまう。
すると、見えてくるのははだけた浴衣の襟元で。
かすかに覗く頬と同じく上気した胸元が、柔らかそうな佇まいで私を誘っ……
待て!ストップ!ちょっと待て!
落ち着け、落ち着け、とにかく落ち着くんだ私!
思わず雰囲気に呑まれそうになって居たけれど、別にお嬢様は何気なく隣に座っただけで
きっと他意はない、他意はないはずなんだ!そもそも私の隣に座布団は無かったはずで、
自分だけ座布団に座ってお嬢様に座布団が無い事にすぐ気がつかないなど、なんたる不覚!
切腹もので……ってちょ、ま、ダメですそんなに体を密着させたら!?
「う、あ!ちょ、お待ちください今座布団を!」
やっとの事でそれだけ言って、片手を付いて膝立ちになる。しかし。
「ええよ。別に座布団なんて」
言葉とともに、腕をとられて座らせられた。抱きしめられた右腕が、柔らかい感触に包まれて……
