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17 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2007/01/17(水) 13:06:48 ID:k/GZ77cw
いつの間に眠ってしまったんだろう。
目を開くと、机の上に置かれたライトだけに照らされた薄暗い自室。
夕食後、部屋に戻ってコタツの中で茶を飲んでいたあたりから記憶が無いが、
無意識に潜り込んだのかもしれない。今居る場所はベッドの上。
一体何時だろう。なぜか少し痛む頭を振りながら身を起こす。
目覚し時計の在り処に向けて手を伸ばそうと動いた時、太もものあたりが柔らかい何かに触れた。

寝ぼけた頭で、なんだろう、と目向けたものの、そちらの方には布団の塊があるだけだった。
何気なく、その布団をめくってみる。

……見なかったことにした。

私は、元に戻した布団の塊に背を向けて、また寝転がる。ああ、これは夢。きっと夢。
だから早く朝になってください。いや、もう朝ですよね?きっとそうだ。
だから次に目を覚ました時にはもう朝で、目覚ましが鳴って私は何時ものように起きられるはず。

「せっちゃん……?」

小さくつぶやく声が聞こえて、背後でごそごそと音がする。
動く布団が時折背中にふわりと触れて、眠りに就きたい私の頭の邪魔をする。

「んー……?さっきなんや動いたみたいな気がしたんやけど」

小さな欠伸が聞こえて、またなにやらごそごそと音がする。

「あー、せっちゃん、布団から出てしもうたら風邪ひくえ」

先ほど起き上がってから、布団の外に出したままだった上半身が、暖かい何かに覆われた。
それからしばらく静かになって。やっと、再び眠気が私の頭に白く霞を掛け始めた頃。

18 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2007/01/17(水) 13:07:35 ID:k/GZ77cw
>>17

「……ちょっとくらいなら、ええかな……」

とても小さな呟きが、私の耳に届いて消える。
つづいて背中にぴったりと、布団とは違う暖かい……きっと体が寄り添う感覚が。
さらに布団と体の隙間から、そっと両手が回されて、きゅっと優しく抱きしめられた。

今の状況は認識している。
正直、心臓の鼓動が先ほどまでより数段早くなっているのも解っている。
しかし、今更起きているのだ、と伝えてしまうのも少々居心地が悪い。
一体全体どうした物か。思っているうち後ろから、小さく寝息が聞こえ始める。

もうしばらく待ってから、気付かれぬうちに布団から抜けるか。一度はそうも考えた。けれど

「せっちゃん……だいすきや……」

寝息の間にこぼれた寝言。それが聞こえて、取りやめた。
その代わり、これは夢だ、きっと夢だ。私は再びそう思う事にした。だから、今だけなら。
この布団の中での小さな夢の間だけならば。
私はそこまで考えて、隣で眠る大切な人を起こさぬように、
体の向きを慎重に変えて、同じように両手を相手の背に回す。

そうすると、先ほどまでは、うるさいほどに跳ね回っていた心臓が、何故だかすっかり落ち着いた。
此処はとても暖かくて、とても幸せ。このままずっといられたらいい。このまま……
徐々に思考を眠気に絡め取られていきながら、私はそんな事を思う。
そして、最後に

「このちゃん。うちも、このちゃんがだいすきや……」

そう小さく呟いて、とうとう私の意識は眠りに落ちた。

19 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2007/01/17(水) 13:08:30 ID:k/GZ77cw
>>18

まぶたの裏まで差し込む光。普段起きる時よりも、それが少し明るい気がした。

寝坊したか!?頭が一気に覚醒する。
それと同時に、左腕に感じる重みと痺れ。一体なんだ。
思いながら、あわてて目を開くと、すぐ目の前に。

「お嬢様!?」

そう、お嬢様の顔が目の前に。
一体どういう事なのか、と、頭をフル回転して考える。
そういえば、と昨日の晩に思い当たったその時に。

「ふぁ……あ、せっちゃん、おはようさん」

私の声で目が覚めたらしいお嬢様が、眠たげな表情のまま、にっこり笑う。
思わず頬が熱くなって、それから急いで挨拶を返した。

「お、おはようございます!」
「それと」

お嬢様の言葉が更に続いて

「せっちゃん、お誕生日おめでとう!」
「……へ?」

一瞬、何のことかわからなかった。

「もー、何変な顔してるん。今日はせっちゃんの誕生日やえ?」

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