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| 405 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2007/02/10(土) 14:40:27 ID:nr8TsWCS | ||||
「わかりました。頂きます」。 塩気の強い焼き鮭は、刹那の心の涙味。それは果たして嬉し涙か、追い詰められた心の汗か。 ――― それからしばしの時が過ぎ、此処は屋上。少々風があるけれど、日当たりとしては申し分ない。 さらに運良く、見回す限りは人の姿も見えなかった。 二人は適当な場所に腰掛け、昼食を再開する。 「今度はサトイモや。せっちゃんあーん」 「は、はい……あーん」 いや、刹那はもちろん、なんとか遠慮出来ないかと往生際悪く伺っていたのだが、 しかし木乃香の鉄壁の笑顔の前に、その覚悟はやはり脆かった。 かくして、しばらくは気恥ずかしそうに食べさせてもらっていた刹那なのだが。 ふと、先ほどから食べさせるばかりで、木乃香の方は何も口に入れていないことに気がついた。 「そういえばお嬢様は食べないのですか?」 「大丈夫、ウチはそんなにおなかすいてへんよ」 「しかし」 「ええってええって」 手を振りながら言う木乃香。とはいえ、気にならないわけが無い。 けれどもこの様子では食べてくださいと言ってもきっと駄目だろう。それでは一体どうするか。 眉尻を下げて少し考えた刹那は、一拍置いて、こう切り出した。 | ||||
| 406 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2007/02/10(土) 14:41:20 ID:nr8TsWCS | ||||
「で、では私がお嬢様に食べさせる、っていうのはどうでしょうか」 食べさせてもらうというのは恥ずかしいけれど、食べさせるならばまだマシだ。 むしろ本来立場上ならばこちらの方が正しいわけで。 そう考えた刹那の案だ。 「へ?でも」 きょとんとする木乃香。その隙に、刹那は一旦置かれていた箸を取り、 弁当箱から卵焼きをつまみ上げ、 「私の、誕生日のお願いということで」 下に手を添えにっこり笑って差し出した。対する木乃香は 「!……せやったら仕方ないなぁ。実はちょっとだけお腹すいてたんよ。朝ご飯も食べてへんし」 嬉しそうに、そして少し恥ずかしそうに苦笑する。 ならば、と刹那が持ち上げた箸に、木乃香は顔を近づける。 途中、前側に垂れてしまった長い黒髪。それを片手でかきあげる。 そんな小さな仕草に感じたかすかな色気に刹那の胸は高鳴った。 気がつけば、差し出した箸の先にあった卵焼きは消えてなくなっていた。 「ありがとうな、せっちゃん。じゃあ、次はウチの番や」 かくて、ぼんやりしているうちに、降ろした箸は再び木乃香の手元へ移る。 新たなおかずが掴まれて、それが刹那の口元へ、伸びていこうとした瞬間。 | ||||
| 407 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2007/02/10(土) 14:42:04 ID:nr8TsWCS | ||||
「だあああああああ!!!」 とてもかわいらしい雄叫びと、それに続くありえない威力の衝撃。 めきょす。 そんな非常識な音を立て、刹那の体が跳ね飛ばされた。 驚く木乃香の目に飛び込むは、陽光に輝き回転する金の髪。制服を着た小さな体。 しかしそれも一瞬で、浮かんだ刹那の体を追って空中コンボを叩き込みつつ、 すごい勢いで走り去ってしまった。 一瞬何が起こったのかが理解できず、唖然としてそれを見送ってしまった木乃香だが。 一拍置いて、 「せ、せっちゃあああん!?」 ようやく状況に気がついて、慌てて立ち上がる。 しかし、そこに近づく黒い影。 「こんにちは。今日はとても良いお天気ですね」 あまりにも冷静なその声に、木乃香は思わず振り返る。 そこに居たのは、姿勢を正して座るロボ・クラスメイト。 鳥を頭に止まらせて、湯飲みを手に持つその姿は、先ほどのバイオレンスな画とは対照的に どこまでも牧歌的な雰囲気を漂わせていた。 | ||||
| 408 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2007/02/10(土) 14:42:47 ID:nr8TsWCS | ||||
「大丈夫です。マスターはちょっとあのダボに活を入れてくるから、景気付けに投げろ、と 無茶をおっしゃっていたので。きっとすぐ帰ってきます」 「茶々丸さん?ええと、その言葉の中にすぐ帰るて意味の言葉は一つも無い気がするんやけど……」 「もちろん射出時の出力は低めに押さえておきましたので、初撃による怪我の心配もいりません」 「それって気休めになってへん気がするんはウチの気のせい……?」 「大丈夫です」 根拠も無く堂々と言い切った。 「満月が近いですから、マスターはちょっと投げつけたくらい全然大丈夫です」 「せっちゃんの方は大丈夫ちがうんーーー!?」 言われて、茶々丸が動きを止める。 そのまましばらく経って、何事も無かったかのように湯のみを差し出した 「……お茶でも如何ですか?」 もちろんそんな胡乱なごまかし方で落ち着けるわけも無く。 「うう、ちょっと様子を……」 扇を出して追おうとする辺り、心配なのはわかるけれどもある意味容赦の無い木乃香。 既に大怪我確定と目しているのかどうなのか。 しかし、その前に立ちふさがる三つの影! 「ちょぉっとまったー!」「た、たー!」「たー」 果たして木乃香は刹那の元へとたどり着けるか否か!? 昼編、次回へ続く! | ||||
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