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431 名前:St. Valentine's rhapsody 5[sage] 投稿日:2007/02/11(日) 03:19:20 ID:TENVsTNK
 「危ない!」
 せっちゃんの足下で何かが弾けて飛ぶのと,うちが抱えられてその場を離れるのはほぼ同時やった。
 「な,何?」
 「お嬢様,私の後ろに!」
 何が起こったか判らないまま,うちはせっちゃんの後ろにまわる。
 「龍宮……これはどういうつもりだ」
 せっちゃんの前に立ってるのは,龍宮さんだった。
 「刹那。近衛さんを,いや,このかお嬢様を渡してもらおうか」
 「何だと!? いったい誰に頼まれた?」
 「頼まれたわけじゃない。これは私の意思だ」
 そう言って,龍宮さん目を伏せた。そしてためらいがちに言う。
 「私はな,刹那。このかお嬢様に惚れたんだ。いつからかはわからないが,彼女に対して胸が疼くんだ」
 「何だって!?」
 「え,ええっ?」
 うちらはあっけにとられた。一体どうしたというのだろう。
 「刹那!護衛の任は,私が就こう。そして,私にこのちゃんと呼ばせてもらうぞ!」
 「そ,そんな,そんなこと納得できるか!」
 混乱しながらも,否定するせっちゃん。
 「お嬢様,逃げて下さい!」
 言われたとおり,うちは校舎の中に逃げ込んだ。廊下に曲がろうとしたとき,ドンッと誰かにぶつかる。

432 名前:St. Valentine's rhapsody 6[sage] 投稿日:2007/02/11(日) 03:19:52 ID:TENVsTNK
 「ごめんなさい……って,アキラさん」
 そこに立っていたのはアキラさんだった。あれ,なんだか頬が赤い。熱でもあるんやろか。
 「ようやく見つけた……近衛さん,私と付き合ってくれないか?」
 「え,えっ,付き合うって。いきなりそんな」
 「私……君のことが好きになったみたいなんだ。刹那さんより背は高いけど……ダメ,かな」
 両肩を掴まれ,真剣な目でウチを見つめるアキラさん。
 なんと答えよう。迷っていると,背後に足音が聞こえた。
 「見ーつけた!」
 「わあっ!?」
 後ろから抱きついてきたのは,まきちゃんやった。なぜか息が荒い。
 「このかさんはやっぱり,あたしの方がいいよねー!」
 もはや言葉もなくしていると,亜子さんがひっぱるように私の腕をとる。
 「ウチに決まってるやん!大阪と京都,同じ関西モンなんやで!」
 逃げるに逃げられないでいるうちを,せっちゃんが助けに来てくれた。
 「み,みなさん!お嬢様を離して下さい!」
 「そうだ,このかお嬢様は私のものだ」
 続いてやってきた龍宮さんが言う。
 「お前は違う!」
 「そうだよ……近衛さんには,私のような人がいいかと……」
 「あたし!あたしだって!あたしといると,楽しいよ!?」
 「近衛さんはウチがいいよねっ」 
 これはどないしよ。そこへ走ってきたのは,ネギ君やった。
 「みなさんっ!待って下さい,落ち着いて!」
 そう言って後ろから,ウチらを逃がしてくれる。
 「姐さん,こっちだ!」
 カモさんの言うとおりに,うちらは階段を上がって屋上に逃げた。

433 名前:St. Valentine's rhapsody 7[sage] 投稿日:2007/02/11(日) 03:20:49 ID:TENVsTNK
 「ひゃー,びっくりした」
 「本当に……」
 ウチらは扉を閉めると,大きく息をついた。
 「それでカモさん。これはいったい,どういうことなんです?」
 せっちゃんの問いかけに,カモさんは言いにくそうに答えた。
 「このか姉さん,シナモンを兄貴から借りてクッキーに振りかけたんだよな?
  実はアレ……惚れ薬だったんだ。いつか使うこともあるかと,おれっちが取り寄せたのさ」
 「はー,あれがそうやったんか」
 「こんな騒動になるとは思わなかったが,効き目はあったみたいだな」
 龍宮さんに効いてたぐらいやもんね。……先に,せっちゃんに食べてもらえばよかったかな。
 「しかし,カモさん。いつまで効果があるんでしょう」
 「兄貴が,精神を爽やかにする呪文を強力にして唱えたからな。およそ2時間ぐらいか」
 下からは,騒がしい声が聞こえてくる。
 「やれやれ,それじゃまだ追いかけっこになるかもしれませんね。他の3人はともかく,龍宮がいますから」
 そう言うなりせっちゃんは,ウチをお姫様抱っこする。
 「せ,せっちゃん!?」
 「あなたを護るのは私の役目ですよ,このちゃん」
 せっちゃんの顔は,映画村の時と同じで頼もしく,一点のくもりもなかった。 
 その時,屋上の向こうでバンッと扉が開いた。
 「あー,見つけたっ!」
 先頭はまきちゃんだ。
 「刹那の姐さん,こっちだ!」
 「それじゃ,お嬢様。しっかりつかまっていて下さいね」
 「うん!」
 ――まだまだ騒ぎは終わりそうにない。
 でも,少しでも長くせっちゃんに抱かれていたいなと思うとウチはつい,顔がほころぶのを抑えきれんかった。

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管理人:虚武僧
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