しかし,何度も繰り返しているのに私に“王様”がまわってこない。このかお嬢様と何かをするというのも
他の人がやってしまうので,私は指をくわえて眺めるしかなかった。
そして。
「さあ桜咲,観念しなって。王様の命令なんだから!」
朝倉さんが,私ににじり寄ってくる。
「ま,待って下さい,朝倉さん!」
止めるまもなく,組み敷かれて唇を塞がれる。
「う……むっ…,んんっ!?」
入ってくる舌の感触。
「うーん,柔らかいね。ごちそうさまっ」
清々しい顔の朝倉さん。こ,これがディープ・キスなのか……初めてだったのに。
「さすがに疲れたねー」
「私,これ以上は脱げないわよ……」
騒ぎ疲れて,みんなぐったりとしている。
「それじゃあ,次で最後にしよっか」
そう言って,朝倉さんが箸の束を差し出した。私は目を閉じ,念をこめて引く。
「むむ,……1番か」
結局最後の最後まで,王様になることは叶わなかった。
「王様だれ?」
「わ,わたしですー」
宮崎さんが手をあげる。
「それでは,1番の人と3番の人がキ,キスをして下さい……」
1番は私だ。そして3番は。
「あや,ウチやな」
お,お嬢様だって!?
最後の最後に来て,私に運が回ってきたようだ。心の中で快哉を叫ぶ。
「よしっ,最後にどーんとやりな!」
早乙女さんが,私の背中をばんばん叩いた。
みんなの手拍子の中,私とお嬢様は向かい合う。はだけたブラウスから見える白い胸元が,私の目を射る。
あどけない顔で私を見つめるお嬢様。
黒い瞳に吸い込まれそうな錯覚を覚えながら,お嬢様の肩をつかんだ。
そして,顔をゆっくりと近づける。あ,あと少しで艶やかな唇が……。
