小さな声で誰にも聞かれないように、それでもしっかりと学園長は言った。
いつしか古い伝統は消えていく・・・・その時期に、新しい風を起こせと。
その意図を読み取った刹那は、静かにお辞儀をして部屋を後にした。
「・・・・せっちゃん!」
「お嬢様?」
刹那が学園長室を出ると、ちょうど木乃香が廊下に立っていた。
待ち合わせをしてなかった刹那はもちろん驚く。
「担任の先生の所行ったって聞いてな・・・・でもネギ君とこにもおらへんから、探したんやえ」
「あ、お嬢様に手間を掛けさせてすみません!」
「それは、ええんよ・・・・」
そういう木乃香の息は少し乱れていた。
木乃香も部活に捉まっていたらしく、部活動後に慌てて刹那を探していたようだ。
「なぁせっちゃん・・・・中等部卒業したら、どっか行ってまうの?」
「え?」
「ウチが、強く止める事できへんけど・・・・」
木乃香は寂しそうな顔で俯く。
木乃香は初等部の頃に、一人で麻帆良に転校してきた。
その際、唯一の友達であった刹那を置いてきてしまったのだ。
木乃香はそれ事を引き摺っており、中等部になって再会した刹那が会話をしてくれないのもそれが原因だと思っていた。
刹那は一瞬何の事かわからなかったが、その意味を察すると木乃香に優しく語りかけた。
「転校はしませんよ・・・・まだ、ですが」
「まだ・・・・?」
「時期が微妙といいますか・・・・でもお嬢様の為を思ってのことですので、心配なさらないでください」

