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| 318 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2007/02/07(水) 23:50:58 ID:wijfoCiQ | ||||
「こ、ここは――?」 刹那は、視界の利かない闇の中で目を覚ました。 なんだか沈んでいくような感覚がする。 まるで、暗くて深い海に、沈んでいくような・・・・。 なぜかその感じが心地よくて、しばらくここで眠りたいと思ってきていた。 引き込まれる前に差し出した手を、何気なく上に伸ばしてみる。 ――何も掴めない。 あの時差し出したこの手は、どうやら何も掴めなかったようだ。 ・・・・この手は何を掴もうとしたんだろう? 苦し紛れに開けた目に、お嬢様が映っていたような気がする そう、自分の名を呼びながら向かってきて・・・・。 ――向かって? そうだ、お嬢様はここに引き込まれなかったのだろうか!? そこまで考えた刹那は、飛びおきた。 不思議と、さっきまでの沈んでいく様な感覚はなかった。 しっかりと闇の中に立つ。 相変わらず視界は利かなかったが、それでも目を凝らして声をあげる。 「お嬢様! ご無事ですか!?」 声は響く事無く、闇に飲み込まれていった。 | ||||
| 319 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2007/02/07(水) 23:51:38 ID:wijfoCiQ | ||||
「くそ、これでは満足に探すことができない・・・・ラン」 火を灯す東洋魔術を使用し、辺りを照らそうとした・・・・が。 火は出ても光が灯ることはなかった。 光も影もない、闇の世界だということを痛感させられる。 「くっ、あの時油断してなければこの様なことには・・・・」 刹那のいうあの時、それは妖精を封じて現実世界に戻ってきた時。 一難去って一息ついた隙が最も危ないと、訓練を受けていた自分は知っていたはずなのに。 それなのに、最近の自分が置かれている環境が・・・・お嬢様の傍にいることが心地よくて。 「今日もお嬢様の手料理が食べられるのかな?」と思った瞬間を、闇に背後から襲われてしまった。 完全な失態だった。 「今まで幻想空間に来たときも、みんながそんなに遠くに離れる事はなかった。 この闇の世界でもそうとは限らないが・・・・。それを考えるとお嬢様はこっちには来てないのかもしれないな」 当てにならない推測である。 とりあえず木乃香を探して歩くことにした。 「お嬢様〜」 まったく響く事無く、飲み込まれていく。 足音すらもしない、ただ感触のみで歩いている。 いや、「歩いている」と錯覚してるだけかもしれない。 「・・・・このちゃ〜ん」 ただひたすらと想い人を呼び、歩き続けた。 だんだんとその足取りは重くなってくる。 肩が重い・・・・肩に背負う夕凪が異様に重く感じてきていた。 | ||||
| 320 名前:名無しさん@秘密の花園[] 投稿日:2007/02/07(水) 23:53:02 ID:wijfoCiQ | ||||
「少し・・・・休むか・・・・」 重くなる疲労感に負けて、ついに刹那は腰を下ろした。 意識が遠くなっていく。 ぼーっとして思考も働かない。 「私はここで・・・・なにをしてるんだろう?」 闇に囚われ始め、ふと目を閉じたその先に見えたもの。 それは京都の道場でひたすら剣を振るう、過去の自分だった。 | ||||
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