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765 名前:もしも明日菜が生き返っていなかったら?〜刹那side〜[sage] 投稿日:2007/03/02(金) 17:53:33 ID:+Ny0EsPa | ||||
「・・・・で、せっちゃん?」 「っ!」 お嬢様には悪いと思ったが、一瞬ビクッとしてしまった。 お嬢様の笑顔が怖い。 というのも、お嬢様の後ろにある鞭とクナイがお嬢様を黒く見せている。 私が机の方に目をやると、お嬢様もそれに気付いて机の方をみた。 「・・・・せっちゃん、さすがにこれは使わへんよ?」 「・・・・え、あ、はい・・・・」 ・・・・ホッとした。 さすがにお嬢様はそんな人ではないよな、と安堵をつく。 お嬢様はそんな私の様子が不満だったようで、少し拗ねたような顔で私の傍に来た。 そして、すっと手が差し出される。 3ヶ月ぶりに差し出されるその手に私は戸惑ったが、お嬢様は構わず私の頬に手を当てて顔を覗きこんできた。 ・・・・お嬢様は少し痩せたのだろうか。 近くで見ないとわからない、かすかな変化を感じ取る。 「・・・・護衛、頑張ってくれてたんやね」 「・・・・」 「龍宮さんたちから全部聞いたよ、ずっとウチの傍にいたって」 やっぱりあいつらか・・・・と顔をしかめる。 今まで苦しみを抱え込んで、涙を抑えて、護衛を続けていたというのに・・・・っ。 『バレている』とわかった途端、涙が溢れそうになった。 今まで抑えていた感情が溢れ出てくる。 あぁ、なんでこの身体は言う事を聞かなくなってしまったのだろう。 | ||||
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766 名前:もしも明日菜が生き返っていなかったら?〜刹那side〜[sage] 投稿日:2007/03/02(金) 17:54:31 ID:+Ny0EsPa | ||||
「ウチな、この作戦決行する前に実家の方に電話したんよ」 「・・・・え!?」 「せっちゃんの仕事、解任できへんのかって」 「そ、そんな・・・・」 護衛を解任される、それはすなわちお嬢様の傍に居る理由がなくなると言うことだった。 おそらくお嬢様は、私を自由にしたいと考えての事だろう。 しかし元々人間ではない私は、任務無しでは『近衛家のお嬢様』に近づく事などできない。 任務があるからお嬢様に近づけるのだ。 「任務は解任できへんて・・・・でもな、お父様が言うてたんや。聞いてくれる?」 「・・・・はい」 解任されないと聞いて少し安堵。 そして続きの言葉を待つ。 「『木乃香の身だけでなく、心も支えてやってほしい』・・・・やて」 「・・・・心、も・・・・?」 心も、とはどういうことだろう? 当たり前のことだが、剣で心は切れない。 それと同じで、剣で心を守る事はできない。 「・・・・ウチの頼みだけやないんやよ? 西の長の頼みでもあるんや・・・・」 「えっと・・・・」 「ウチの傍におってよ、影から守るんやなくて・・・・隣にいて・・・・」 | ||||
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767 名前:もしも明日菜が生き返っていなかったら?〜刹那side〜[sage] 投稿日:2007/03/02(金) 17:55:06 ID:+Ny0EsPa | ||||
涙ながらに伝えるお嬢様、そして抱擁・・・・やっと、意味がわかった。 いつまでも立場に拘る私のために、長はこういった任務を言い渡したのだ。 お嬢様の隣にいなさい、と。 それは私にとって任務などではなく・・・・ただの願望であるのに。 「・・・・ごめんなさい、お嬢様・・・・」 いつしか私も涙を流していた。 栓をしていた感情が一気に溢れだして、止まらなかった。 「私も、辛かったです・・・・一度知ってしまった、温もりを手放してしまって・・・・戻ってきたかった・・・・っ」 「戻ってきてええんやえ・・・・せっちゃん四角く考えすぎや・・・・」 「ごめんなさい・・・・ごめん、なさい・・・・っ」 この場所はこんなにも居心地がいい。 お嬢様は黙って私を受け入れてくれて、抱きしめてくれた。 今できる事は、ただ泣き続ける事だけ。 今夜はただ、二人で泣き続けた――。 | ||||
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