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957 名前:【春のバカンス 〜ホワイトデー〜】[sage] 投稿日:2007/03/14(水) 12:34:14 ID:tooKAa7S

「えーと、確かこの辺に・・・・」

荷物から薬箱を出す木乃香。
ちゃんと薬を持参するところが、明日菜とネギの保護者らしい。
目的の物を見つけ部屋を立ち去ろうとすると、ふっと窓の外が目に入った。

「・・・・うわぁ、夕焼けやぁ〜!」

窓の外に広がる紅の空に誘われるように、木乃香はベランダに出た。
真っ赤に燃える太陽に、その色をうつす海。
普段暮らしている麻帆良からはみられない、幻想的な景色が広がる。

「きれいやなぁ・・・・せっちゃんにも見せたかったわ・・・・」
「・・・・・・・・本当に、キレイですね」
「・・・・へっ!?」

頭上から聞き覚えのある声が降ってきた。
慌てて声の聞こえた方を見ると・・・・そこには屋根に座っている刹那の姿があった。
少し照れくさそうに、木乃香を見下ろしている。

「な、なんでせっちゃんがおるの!?」
「いいんちょさんが・・・・"木乃香さんへの少し早い誕生日プレゼントを"っと・・・・」


――それは数刻前のこと。
寮にいた三人が玄関に行くと、相手は仕事の依頼人ではなく雪広家の使用人だった。
あまり金持ちの我侭を言わないあやかだが、友達の大切な日は特別らしい。
あやかは誕生日が近い木乃香へのプレゼントとして、特別に刹那たちを麻帆良からこの島まで送迎したようだ。

958 名前:【春のバカンス 〜ホワイトデー〜】[sage] 投稿日:2007/03/14(水) 12:35:10 ID:tooKAa7S

「ほとんど強制でしたけれど・・・・私もこちらに来られてよかったです」

刹那はスタッと木乃香の傍に降りる。
そして木乃香を夕焼けに向け直すと、そっとその隣に寄った。
照れ屋な刹那とは思えないほどの自然なエスコートに、木乃香の胸は高鳴る。

「・・・・・・・・なんや、ずるいわ」
「え?」
「・・・・ううん、嬉しい!」
「わっ!?」

木乃香はいきなりの再会で、胸を鷲掴みにされたような気がした。
しかしそれを言ったらなぜか負けな気がして、照れ隠しに刹那の腕を抱く。
それに照れて慌てる刹那・・・・これで木乃香の勝ち。

そうこうしているうちに、太陽は完全に海に沈んだ。
二人の周りが闇に包まれる。

――。

「・・・・いつまでそうしてるんだい?」
「ひゃ!?」

その声に驚いて、刹那と木乃香は慌てて離れた。
後ろの屋根には龍宮と楓の姿。

959 名前:【春のバカンス 〜ホワイトデー〜】[sage] 投稿日:2007/03/14(水) 12:35:49 ID:tooKAa7S

「い、いつからそこに?」
「いまさっきでござるよ」
「まったく、綺麗な夕焼けを見逃してしまった」

残念そうに、しかしそれでもどこか嬉しそうに龍宮は二人を見下ろす。

「・・・・では私たちは、火傷をする前に退散するとしようか」
「がんばるでござるよ刹那、ニンニン♪」
「楓まで・・・・!」

真っ赤になって慌てる刹那を置いて、二人は立ち去っていった。
"人払いは済んだぞ"と言い残して。

「・・・・がんばるって?」
「あー、えっと・・・・その・・・・」

少し困ったように、刹那は頬を掻く。
そして意を決して木乃香を見つめると、言葉を続けた。

「・・・・すこし、デートを・・・・しませんか?」
「ほえ・・・・?」
「他の人では行けない場所へ、お連れしますが・・・・////」
「・・・・うん、ええよ!」

その木乃香の返事にほっとする刹那。
この状況で断る人がいるだろうか。
しかしその控えめな性格が、木乃香を溺れさせてしまっているのかもしれない。

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