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296 名前:週間テーマ 『頬を伝う一粒の涙』[sage] 投稿日:2007/06/16(土) 01:14:26 ID:XPv3bSqJ

無事遅刻せずに登校する事ができた木乃香たち。
その目線の先には、寮で別れた刹那の姿があった。
すかさず明日菜が話しかけようとするが、既に刹那は学生ではない他者と会話をしていた。

「誰だろ・・・・? このか知ってる?」
「ううん、知らへんなぁ・・・・」

中学三年生の木乃香たちが知らないので、中等部の教師ではないようである。
刹那はやや緊張気味に話していたが、注目する木乃香と明日菜に気付くとすぐに相手と別れた。
そして刹那もすぐにその場を立ち去ろうとする。

「あ、刹那さん! ちょっと話が――」
「・・・・」

・・・・刹那は一礼だけすると、その場を立ち去ってしまった。

(せっちゃん・・・・どないしたん・・・・?)

木乃香の中に渦巻く不安。
刹那の雰囲気は、かつて木乃香と距離をとっていた頃の様であった。
そして木乃香は昔のように・・・・ただ刹那が立ち去る後姿を見ている事しかできなかった。

*

その後も幾度となく明日菜が話しかけてみるが、刹那の態度は変わらなかった。
ネギに対してもそれはそうで、英語の時間でネギもそれに気付いた。
木乃香いたっては既にどうしていいかわからなくなってしまい、刹那に近づく事すらできない。

297 名前:週間テーマ 『頬を伝う一粒の涙』[sage] 投稿日:2007/06/16(土) 01:16:36 ID:XPv3bSqJ

「このかさん、刹那さんと何かあったですか?」
「あ・・・・気付いてもうた?」
「これだけ不自然じゃねぇ・・・・」

昼休みになり、見かねた図書館組が近づいてきた。
いつも木乃香と刹那は一緒に昼食をとる為、昼になっても一緒に行動しないのは明らかに不自然だったのだ。

「喧嘩・・・・ですか〜?」
「そうやないん・・・・でも、急に昔に戻ってもうたみたいで・・・・どうしたらええか、もう・・・・」
「変化の前を教えていただけませんか? なにか原因がわかるかもしれませんし」

木乃香は思い出せるだけの事を全て話した。
異変の前、最後に会ったのは土曜日だという事。
日曜日は仕事があった為に会う事ができなかった事。
今日の朝に中等部教師で無い大人と会話をしていた事。

しかしそれらは退魔師である刹那には珍しい事ではなく、問題点を見つける事はできなかった。
今日になり突然、自分だけでなく明日菜やネギにも素っ気無くなってしまったのだ。

「うーん、これはあれだね。このかからガンガン話しかけてみたらどう?」
「ハルナ・・・・あの明日菜さんが失敗してるです、このかさんができるはずないですよ」
「本当にどうしたんだろう、桜咲さん――」
「・・・・・・・・せっちゃん・・・・」

木乃香は既に教室にいない刹那の名を呟く。
結局その後も、木乃香は刹那に話しかける事ができなかった。

298 名前:週間テーマ 『頬を伝う一粒の涙』[sage] 投稿日:2007/06/16(土) 01:17:52 ID:XPv3bSqJ

*

刹那に異変が起きてから四日が過ぎた。
あれから進展もなく、この一週間木乃香たちと刹那はまったく話す事ができていない。
木乃香の不安は絶望へと変わっていた。

「木乃香・・・・大丈夫?」
「・・・・ゴメンな、アスナ・・・・」
「具合悪いんですか? 薬出しましょうか?」
「体調は大丈夫やえ、ありがとなネギ君・・・・」

"刹那と会うのが怖い、拒絶されるのが怖い"
木乃香が思うのは、そんな不安と恐怖だった。
しばらくベッドにうつ伏せていた木乃香だったが、さすがに同居人たちの夕飯作りをサボるのもまずいと考えて起き上がる。

「ご飯、何がええ〜?」
「無理しなくていいわよ、一食ぐらい無くても良いし」
「あ、僕が何か作りますね」

・・・・木乃香は今回は特別に甘える事にした。
ベッドに寝転がり、今週を振り返ってみる。
一度も刹那と話らしい話をしていない。
刹那に触れていない。

(ウチ・・・・嫌われてもうたのかな・・・・)

ズキリと胸が痛む。
もうこのままずっと話せないのだろうか?
このまま、全てが終わってしまうのだろうか?

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