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317 名前:週間テーマ 『頬を伝う一粒の涙』[sage] 投稿日:2007/06/16(土) 23:51:17 ID:XPv3bSqJ

「・・・・あなたの、差し金だったのですか?」
「う、ウチは・・・・」
「お嬢さま、すみませんが」

キッと刹那は木乃香を見る。
怒ったような鋭い眼光は、仕事の時のソレだった。

「あまり、私に話し掛けないでください」

静かで冷たいその言葉が、木乃香の胸に突き刺さる。
理由を訊ねたい・・・・しかし木乃香は言葉を出す事ができなかった。
刹那は立ち尽くす木乃香から目を逸らす。

「では、仕事がありますので」

そして刹那はその場を去った。
木乃香には呼び止める事ができなかった。
その場にいた全員が、何かに縛られたように動けない。

「・・・・あんの、馬鹿!」

明日菜の怒声が静寂を破った。
糸が切れたように、その場の全員が顔を見合わせる。

「ここで待ってなさい、このか! 私が引きずってでも連れ戻してくるから!」
「あ、アスナ!?」
「待つですアスナさん! 今の状況では追いかけても――」

318 名前:週間テーマ 『頬を伝う一粒の涙』[sage] 投稿日:2007/06/16(土) 23:53:25 ID:XPv3bSqJ

木乃香と夕映が止めようとしたが、明日菜は止まらず走り出した。
慌てて追いかける木乃香だったが、角を曲がったところで人とぶつかってしまう。
それにより転びかけた木乃香だったが、ぶつかった相手に手をとられて何とか踏み止まった。

「あ・・・・っ! か、堪忍!」
「大丈夫で・・・・おや、近衛殿ではござらんか」

ぶつかった相手は長瀬楓だった。
服装は忍者衣装であり、これから仕事だという事が見て取れる。

「今、急いで――」
「まぁまぁ、落ち着くでござる。刹那の事でござろう?」
「え・・・? 楓ちゃん、なにかしっとるん!?」
「シッ!」

楓はのんびりとした口調で、慌てる木乃香たちを抑える。
そして、静かに話し始めた。

「実は最近この周りに・・・・とくに刹那の周りに、妙な魔力を感じるでござるよ」
「へ?」
「式神でござるな。真名とも調査をしていたでござるが・・・・」

楓はすっと目を開き、周りに何も無いのを確認する。
そして警戒しつつも木乃香たちに告げた。

「刹那は何者かに見張られているようでござる・・・・おそらく、西からの圧力でござろう」

*

319 名前:週間テーマ 『頬を伝う一粒の涙』[sage] 投稿日:2007/06/16(土) 23:55:08 ID:XPv3bSqJ

「待って、刹那さん!!」
「なぜついてきたんですか? アスナさん」

薄暗い森の中、明日菜はやっと刹那に追いついた。
ここは龍宮神社の近くで、学園に迷い込んでくる下級の魔物が集まるように、特別な術が施されている。
それにより、学園側に雇われている退魔師たちはここで仕事をするのだ。

「なぜって・・・・さっきの事よ! ひどいじゃない!」
「・・・・勝手に心を覗こうとする方が、ひどいのでは?」
「なっ・・・・」

静かな森の中に感情のない声が響いた。
刹那は明日菜に背を向けており、肩越しに明日菜を見ていた。

「ここは危険です、早く戻ってください」
「・・・・嫌よ」
「仕事の・・・・邪魔です」

刹那は搾り出すように、冷たい言葉を放つ。
この相手が木乃香であれば、相手は即座に寮に戻ってくれたであろう。
ただし相手は完全に腹を立てた明日菜・・・・逆効果となってしまった。

「馬鹿じゃないの!? ちゃんと理由を言うまで・・・・ずっと追いかけてやるわ!」
「・・・・ですから、これから仕事・・・・うっ!?」

一気に距離を詰めた明日菜は、その手にアーティファクトを持っていた。
とっさに刹那も夕凪を抜き応戦する。

「な、なにを・・・・!?」
「馬鹿を引っ叩いて連れて帰るのよ!」

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