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320 名前:週間テーマ 『頬を伝う一粒の涙』[sage] 投稿日:2007/06/16(土) 23:56:23 ID:XPv3bSqJ

完全に頭に血が上った明日菜は、容赦なく刹那を叩きにかかる。
刹那も最初は防戦をしていたが、切りが無いとわかると攻撃に転じた。
峰打ちではあったが、その衝撃は明日菜を吹き飛ばす。

「きゃあ!」
「すみませんが仕事がありますので、無理にでも帰っていただきます!」
「いたた・・・・っ、こんのぉ!」

・・・・本来ならば戦闘のプロである刹那に、明日菜が敵うはずも無い。
だが刹那の動きはいつもより冴えてなかった。
刃を向ける相手が背を任せた事のある戦友であり、そして親友である明日菜の為に本気を出しきれないのだ。
明日菜が自分を思って行動している事も、刹那は理解していた。
しかし刹那も退くわけにはいかない理由があった。

「・・・・アスナさん、お願いですからここは引いて下さい!」
「だから、嫌だって言ってんでしょーが!」

どちらも譲らなかった。
お互い気を緩める事ができない状況で、二人は剣を交える。
その背後に潜む、闇の存在にも気付かなかった。

――・・・・。

ガキンッ

――グルル・・・・。

ガンッ

「・・・・っとと!」

321 名前:週間テーマ 『頬を伝う一粒の涙』[sage] 投稿日:2007/06/17(日) 00:00:35 ID:0o78vHW/

実戦経験の差が生じ、明日菜が押され始めた。
木の上での踏ん張りが利かずに、明日菜は地面へと降りる。

「やっぱ、刹那さん強――」
「・・・・ガアアアッ!!」
「っ!? アスナさん、危ない――!」

バキッ!

「せ・・・・刹那さん!!」

・・・・一瞬の出来事だった。 
明日菜が降りた地上には、今夜刹那が狩る予定だった魔物が待ち構えていたのである。
それに明日菜は気付かず・・・・先に気付いた刹那が、明日菜を庇った。

「ぐぅっ・・・・」
「刹那さん、しっかり・・・・くぅっ!」

明日菜は刹那を守る為に、魔物に立ち向かった。
しかし退魔の術を知らない明日菜には荷が重すぎる。
刹那から魔物を引き離すのが精一杯で、明日菜の身体も赤に染まっていった。

「アスナさん・・・・逃げてください・・・・っ」
「そ、そんなこと、できるわけないっ!」

しばらくその状態が続く。
このままでは明日菜までもが、魔物の牙に倒れてしまうだろう。
追い詰められていく明日菜に魔物が迫る。

322 名前:週間テーマ 『頬を伝う一粒の涙』[sage] 投稿日:2007/06/17(日) 00:03:23 ID:XPv3bSqJ

ピィィ――――ッ!

「え? な、なに?」

突如響いたのは、笛のような甲高い音。
その音に魔物が驚いて怯む。
明日菜がその音に振り向くと、それは刹那が上体を起こして指を咥えていた。
どうやら先ほどの音は、刹那の指笛だったらしい。

「・・・・アスナさん、私と一緒に引いて下さい・・・・っ」
「え、あ、うん・・・・!」

明日菜はひるんだ魔物から離れ、刹那を支えてその場を離れる。
しかし魔物は二人を見逃しはしなかった。
再び明日菜と刹那に魔物が迫る。
傷付いた二人に逃げ切る力は残ってなく、魔物の牙が二人に迫る――。

――ドンッドンッ!

「ギシャアアア!」
「きゃあ!?」
「・・・・危なかったな、神楽坂」
「龍宮さん!?」

響いた銃声と共に魔物は消滅する。
追い詰められた二人を助けたのは、刹那の仕事のパートナーである龍宮真名だった。

「どうしてここが・・・・」
「呼び子が聞こえたんでな、急いできた」
「よびこ・・・・?」

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