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397 名前:週間テーマ? 好き放題[sage] 投稿日:2007/06/21(木) 01:17:36 ID:cnGbh7Os

「――ご、誤解です、お嬢さま!!」
「・・・・言い訳は聞きたくないえ」

必死で否定する刹那を、木乃香は無視して机に向いたまま作業を進める。
普段の優しくてはんなりした木乃香とはまったく違う。
そのギャップに刹那は怯んでしまった。

「・・・・お、お嬢さま・・・・?」
「どうせ・・・・ザジちゃんにひぃひぃ言わされてたんやろ」
「ぶっ」
「えっ!?」

いきなりの問題発言に噴出す明日菜と、絶句する刹那。
暴走した木乃香はさらに続ける。

「じゃあ逆にひぃひぃ言わせてたん!?」
「なっ・・・・違います! 私は、お嬢さま以外とは――」
「ちょっ、いい加減にしなさいよあんた達!!」

売り言葉に買い言葉で、刹那までもが問題発言をしそうになる。
それを明日菜が全力で止めた。

「二人がケンカなんて・・・・少し落ち着いて話したら?」
「せっちゃんが浮気したんに、落ちつけるん!?」
「ふ、不本意です! 私は後ろめたい事など何一つしていません!」
「んな事言うて、昨日仕事やて嘘ついて・・・・ザジちゃんと好き放題しとったんやろ!?」
「ですから! 私は――」
「――だから、いい加減にしろーー!!」

398 名前:週間テーマ? 好き放題[sage] 投稿日:2007/06/21(木) 01:18:41 ID:cnGbh7Os

またもやキャーキャーと言い争いを始める木乃香と刹那と、それを止める明日菜の怒鳴り声。
それらは部屋の外に漏れていて、珍しい展開にクラスメートたちが集まってきた。
このままではクラスメートたちが火に油を注ぎ、取り返しがつかなくなる恐れもある。
明日菜は仕方なく、ため息をつきながら玄関へと向かった。

「もう、外は私がどうにかしておくから・・・・二人でちゃんと話すのよ?」
「・・・・うん」
「も、申し訳ございません・・・・」

先ほどまで言い争っていた二人は、お互いに涙目で頭を擦りながら承諾する。
どうやら、明日菜の怒りの拳が直撃したようだ。
二人の共通の親友は、強かった。

明日菜が出ていき、しばらくすると部屋の外は静かになった。
木乃香は机で作業を進めながら、刹那は明日菜に出してもらったお茶をすすりながら、その場で沈黙していた。

「・・・・」
「・・・・」

重たい空気。
その中にペンを走らせる音と、お茶をすする音だけが響く。
自分の部屋ではない為に居心地が悪い刹那は、意を決して口を開いた。

「お嬢さま・・・・あの・・・・」
「・・・・なんや?」
「私の言い分も、聞いていただければと・・・・」
「・・・・うん」

明日菜の拳が効いたのか、二人は落ち着きを取り戻していた。
木乃香はペンを置き、刹那と向き合う。
刹那もしっかりと正座して、木乃香を見た。

399 名前:週間テーマ? 好き放題[sage] 投稿日:2007/06/21(木) 01:20:30 ID:cnGbh7Os

「実は昨日・・・・行き倒れてしまいまして・・・・」
「行き倒れ・・・・?」
「はい。仕事からの帰路で倒れた所を、ザジさんが助けてくれたみたいなんです」
「怪我・・・・ないん!?」
「はい、その点は大丈夫です」

刹那は事実を木乃香に伝えた。
連日の雨で身体が弱っていた事。
倒れてから昼に目覚めるまでの記憶は無い事。
・・・・本当に、木乃香が勘違いしているような事に心当たりが無い事。
そして自分の体調管理を怠った結果が、こういった事態を引き起こした原因である事。

「ですから・・・・私が悪いんです・・・・。ごめんな――」
「ストップ」

木乃香は謝る刹那を制止した。

「なんでせっちゃんが謝るん? せっちゃんは悪い事しとらんのやろ?」
「・・・・ですが、自己管理さえできていれば起きなかったことです」
「急に具合悪くなるんは、誰だってあるえ・・・・」

木乃香は立ち上がると、先ほどペンを走らせていたノートを手に持って刹那の隣に移動した。
刹那が身体が緊張するのがわかる。

「・・・・さっきはウチに強気で言い返してたんに・・・・いつものせっちゃんに戻ってもうたな?」
「あ、あれは・・・・つい・・・・」
「あれでこのちゃんって言うてくれてたら、昔した喧嘩みたいやったのにぃ」

売り言葉に買い言葉だったとはいえ、刹那は木乃香に逆らった事になる。
従者としてはあるまじき行為。

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管理人:虚武僧
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