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9 名前:ホスト 続き[sage] 投稿日:2007/08/04(土) 02:31:45 ID:4z3ISOBc | ||||
* 「あかん、ウチ最低・・・・」 静かな部屋に、木乃香の独り言が響く。 木乃香は出店クラスの控え室に来ていた。 今一番忙しい時間帯なので、その場には木乃香以外誰もいない。 (一瞬・・・・せっちゃんの事呼んで、あのお客さんに見せつけようと思ってしもうた・・・・) クラスがこの一週間頑張って築き上げたものを、一時の感情で壊そうとしてしまった。 その罪悪感が木乃香の胸を締め付ける。 「・・・・お嬢様?」 「っ!?」 入り口に背を向けていた木乃香の背後から、刹那の声がした。 木乃香は必死で笑顔を作り、振り向く。 「せっちゃん、なんできたん? 忙しいんに・・・・」 「お嬢様が見えなくなったので・・・・その・・・・」 刹那は遠慮しがちに木乃香に近づいてきた。 「お嬢様のお仕事はお店のサポートでしたので・・・・こちらに来る必要ないはずですし・・・・」 「来たらアカン」 「え?」 | ||||
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10 名前:ホスト 続き[sage] 投稿日:2007/08/04(土) 02:35:28 ID:4z3ISOBc | ||||
歩みだした刹那を、木乃香は静止した。 その命令に刹那は従い、二人の距離は一定に保たれる。 「お嬢様、どうして・・・・?」 「せっちゃん、戻らんとあかんやろ・・・・今も指名入っとるんやないの?」 「え・・・・」 木乃香のただならぬ雰囲気に、刹那は言葉を失っていた。 木乃香は刹那に背を向け、店に戻るように促す。 (これ以上近づかれたら・・・・この部屋に閉じ込めたくなってまう・・・・) ・・・・想い人が他の人といちゃつく所を見たくない。 しかし、この学校に来て得る事ができた大切な友人たちの努力も、無駄にする事はできない。 八方美人な木乃香の性格は、自らを犠牲にする事を選んだ。 「せっちゃん、行って」 ・・・・――バタン しばらくの静寂の後、ドアが閉まる音がした。 刹那が立ち去ったと悟った木乃香は、嫉妬深い自分にまた自己嫌悪する。 (後で・・・・謝らんとな・・・・) 木乃香は持っていた飲み物を口に含んだ。 とはいっても喉が渇いているわけではないし、味も感じない。 ただ何となく、何かをして気分を紛らわしたかっただけだった。 | ||||
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11 名前:ホスト 続き[sage] 投稿日:2007/08/04(土) 02:36:09 ID:4z3ISOBc | ||||
「――お嬢様」 「っ!? けほっけほっ・・・・!」 「あ、すみません!」 刹那はまだ部屋にいた。 確かにドアは閉めたが、それは内側からだったのだ。 驚いた木乃香は、口に含んでいた飲み物を噴出しそうになってしまう。 「けほっ・・・・何でまだいるん!?」 「私はお嬢様の傍にいたいのです・・・・本当にご迷惑でしたら、立ち去りますが・・・・」 「め、迷惑やなんて、そないな事ないけど・・・・」 刹那の不意打ちで、木乃香の憂いの気持ちはどこかに吹き飛んでいた。 刹那は木乃香の拒絶がないと知ると、木乃香のすぐ隣に寄ってくる。 「えっと・・・・お嬢様が持ち場を離れるなんて珍しいですね。どこか具合が悪いのですか?」 「ううん、もう大丈夫や。・・・・せっちゃんも仕事投げ出して、ウチの所に来てくれたから」 「え?」 刹那はわけがわからず、きょとんする。 木乃香はそんな刹那を少し睨んだ。 木乃香が我慢しようとしていた"嫉妬心"が燃え上がる。 「せっちゃん、お客さんの事"お嬢様"って呼んどったね・・・・」 「あ・・・・早乙女さんにそうするようにと・・・・」 「しかもキスされとったね」 完全に怒った木乃香の態度に刹那も気付き、顔が青ざめた。 刹那はこうなった木乃香に一番弱い。 何をされようと抵抗できなくなる。 ・・・・それは主従関係無しの、恐怖心による絶対的な支配。 | ||||
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