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96 名前:記憶喪失[sage] 投稿日:2007/08/17(金) 01:34:18 ID:hH8Mhz7r

一見なごやかにみえる三人。
しかし常に周りに気を配っていた。
それもそのはず先ほどの魔物は、明日菜の攻撃が浅かったために逃げ出してしまったのだ。
もちろん明日菜は責任を感じて追おうとしたのだが、それは刹那と龍宮によって止められた。

「この森には深夜に人は入らないし、魔物も森からは出られません」
「無謀に深追いするのは命取りだぞ」

刹那と龍宮のその助言で、明日菜も落ち着いて敵を追跡する事にしていた。
・・・・しかしその落ち着きも、すぐに消えることとなる。
魔物が逃げた先から、悲鳴が響いたのだ。

――キャー!

「えっ!?」
「今のは・・・・」
「お嬢様!?」

遠くて声は小さいが、確かに女性の悲鳴が聞こえた。
刹那はそれが木乃香のものだと判断して、すぐに駆け出した。
明日菜と龍宮も後を追う。

(そんな、なんで・・・・部屋で眠られていたはず・・・・!)

正気を失った刹那を、明日菜と龍宮は止めなかった。
・・・・否、止めることなどできなかった。

*

97 名前:記憶喪失[sage] 投稿日:2007/08/17(金) 01:35:40 ID:hH8Mhz7r

「いや・・・・来ないで・・・・」

木乃香の前には黒い影のような魔物、後ろには大木。
明日菜と刹那を追いかけてきた木乃香だったが、途中で二人を見失ってしまっていた。
さらに道に迷ってしまい途方に暮れているところに・・・・・運悪く、明日菜が取り逃がした魔物と鉢合わせてしまったのである。

「ブルル・・・・」

魔物の姿はイノシシのようだった。
腹部と思われる箇所には大きな切り傷があり、そこから黒い血のようなものが流れている。
眼光は真っ赤で、ただ木乃香のみを睨みつけていた。

「――ガゥッ!」

両者が睨み合う間はほんの一瞬だった。
手負いの魔物はすぐに木乃香に向けて走り出す。

「きゃっ!?」

――ドォン!

既でのところで攻撃を避けた木乃香。
大きさは大型犬ほどの魔物だったが、その身体から繰り出される突進は想像を絶するものだった。
木乃香の後ろにあった大木が、見るも無残に砕け倒れたのだ。

「・・・・!」

魔物は大木を破壊した衝撃にも怯まず、木乃香に振り返る。
目の前の惨劇と魔物の赤い眼光は、木乃香の身体は凍りついた。

98 名前:記憶喪失[sage] 投稿日:2007/08/17(金) 01:37:59 ID:hH8Mhz7r

「ガァッ!」

魔物が再び木乃香に向かってくる。
しかし木乃香は立ちすくんでしまい、その場で動けなかった。

(アカン・・・・避けられない・・・・!)

「・・・・きゃああぁぁ!!」
「お嬢様ぁーー!!」

木乃香と魔物の間を遮るように、白い何かが割り込んだ。
そして、その"白い何か"は木乃香を横に突き飛ばす。

――ドンッ

木乃香を助けた為に、"白い何か"は魔物の突進を諸に受けてしまった。
それは木乃香の目には、スローモーションのように映る。
"白い何か"が翼を出した刹那だと木乃香が判断したのは、その惨劇の直後だった。

「がはっ・・・・!」
「・・・・せ、せっちゃん!?」

大木をいとも簡単に薙ぎ倒す魔物の攻撃が、刹那に直撃してしまった。
黒い塊に跳ね飛ばされて、白い羽根が散る。
そして刹那は、背後にあった石に叩きつけられ・・・・その際に頭を強打して意識を手放した。

「せ、刹那さん!」
「魔物は私が! 刹那を運べ!」

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