TOP
TOP   SS   イラスト
<< 前頁  クラフト 氏  次頁 >>
826 名前:帯刀[sage] 投稿日:2007/09/27(木) 22:02:30 ID:H8fx//hX

――ゴンッ

会話をしながら靴を履き替える明日菜とせっちゃん。
途中、せっちゃんの肩から刀がずり落ちて床に当たる。
その時に重そうな音が床に響いた。

(あの刀がなければ・・・・)

せっちゃんも、ゆっくり休めるに違いない。
ウチは携帯を取り出すと、朝倉に向けてメールを出した。

*

今日もいつもと変わりない日常生活。
ただせっちゃんは、少しぐったりとしていた。
やっぱり疲れが溜まってるみたい・・・・。

「刹那さんなんか調子悪そうだね・・・・」
「そやね・・・・昨日から悪いみたいなん」
「傍にいてあげなよ」
「・・・・」

ウチはそれを素直に聞き入れる事ができず、せっちゃんに目線を戻す。
ちょうど柿崎さんが、せっちゃんに近づくところだった。

「桜咲さんのそれ、木刀?」
「え、いや・・・・まぁそんなものです」
「見せてくれないかな〜?」
「す、すみません、これは・・・・」

827 名前:帯刀[sage] 投稿日:2007/09/27(木) 22:04:28 ID:H8fx//hX

いつもはさほど気にされない、せっちゃんの木刀袋。
でも今日のクラスの皆は、せっちゃんの刀を取ろうとする。
・・・・それはウチが朝倉に頼んだせい。

「刹那さんー、それ貸して〜?」
「あ・・・・だ、駄目です・・・・ごめんなさい・・・・」

ウチは朝倉さんに、せっちゃんの刀と食券を引き換える約束をした。
いわゆるイベント。
こういった遊びは3-Aではよくやる事で、今回はせっちゃんの刀を奪えば賞品を手にする事ができる。
もちろん賭けだから、参加費は既にもらっている。

「刹那さん、待てー!」
「うっ・・・・すみません・・・・!」

借りてから奪おうとする人もいれば、最初から全力で奪いに行く人と、様々な攻防戦が繰り広げられている。
でもせっちゃんはそれらを軽く避けた。
さすがはせっちゃん・・・・でも、悔しい。

「このか・・・・いい加減にしなよ」
「ん? 何の事や〜?」
「刹那さんの刀の事よ。どうせあんたの差し金でしょ?」

・・・・さすが同居人。
今回のイベントの主がウチだって、気付かれた。

「ウチしらへんもん〜」
「あ、ちょっとこのか!」

ウチは適当に誤魔化して、のどか達の所に行く。
一瞬せっちゃんがこっちを見た気もしたけど、それはわざと無視した。

828 名前:帯刀[sage] 投稿日:2007/09/27(木) 22:05:54 ID:H8fx//hX

*

「今日はこれで終わりです。また月曜日に会いましょう。それでは号令を」
「はーい! きりーっつ!」
『さよーならー!』

結局誰もせっちゃんから刀を奪えなかったらしい。
残念、とメールがいくつか来た。
ウチはそのメールそれぞれに『お疲れ様』と送り、荷物をまとめる。

「私、今日美術部に寄ってくけど・・・・」
「うん、ウチ先に寮に戻ってるな」
「・・・・刹那さんと――」
「――もう、ほっといてって言うとるやん? ・・・・もう、大丈夫やから」

今日ずっと心配してくれた明日菜のおかげで、怒りとかそういうのはどこかにいってた。
まだせっちゃんとは仲直りできてないけど・・・・。
ウチは意を決して、明日菜が見守る中、帰りの支度をしているせっちゃんに近づいた。

「・・・・せっちゃん?」
「え、あ、お嬢様・・・・」
「朝は・・・・その・・・・堪忍な? うっかりやったん・・・・」

珍しくウチの接近に気付かなかったせっちゃんは、驚いた顔で振り向いた。
ウチはそんなせっちゃんに、手を顔の前で合わせて精一杯謝る。
すると、せっちゃんは笑い返してくれた・・・・怒ってないみたい。

「いえ・・・・お嬢様は悪くありません」
「でも叩いてええわけやない・・・・ごめんな・・・・」

<< 前頁  クラフト 氏  次頁 >>


ページトップ

管理人:虚武僧
web拍手
┣サイトへの意見・要望
┗リンクミスの報告など