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43 名前:5/13[sage] 投稿日:2007/05/29(火) 17:30:54 ID:weXAdbSC
◇◆◇

木乃香は寝不足の目をこすりながら教室にいた。
刹那の姿は見えない。

「なんや…。せっちゃん来てないんか…。」

アスナに,「何があったか知らないけど、早いとこ
話し合っておいた方がイイよ。」と助言されていたので,
思いきって昨日のことについて尋ねようとしていた木乃香だった。
しかし,肝心な刹那は姿が見えず,
また悶々とした思いを抱えざるを得なかった。

放課後になって,刹那の様子を知りたくて,龍宮に声をかけようとした。
しかし,昨日のこともあって逡巡していると,

「近衛,少し良いか。話しておきたいことがあるんだ。」

先に声をかけたのは龍宮だった。

龍宮は,場所を換えようと,人気のない場所を選んで移動した。
木乃香は黙々と龍宮の後ろについていく。木乃香の脳裏には
昨日のアクシデントがチラチラと映し出されていた。

「そう睨むな近衛,お前の刹那を獲ったりしないから。」

目的の場所につくなり,龍宮が木乃香に声をかけた。木乃香の
知らないうちに真名に向けた嫉妬心が顔に現れていたようである。
慌てて表情を直した木乃香に,真名は静かに話し始めた。

44 名前:6/13[sage] 投稿日:2007/05/29(火) 17:31:56 ID:weXAdbSC
「昨日のは戯れが過ぎたみたいだな。申し訳なかった。しかし見兼ねてな。」
「見兼ねて?」

木乃香には龍宮が言わんとすることがいまいち理解できなかった。

「ああ。刹那が苦しんでいるのをな。」
「ええっ?せっちゃんなんか病気なん?」

真名の言葉に木乃香は心底刹那を心配した。なにも知らないまま
刹那に何か無理をさせていたのではないかと,また自分の知らない
ところで刹那に……。
ところがそんな心配をよそに龍宮は声を殺して笑い出した。

「っっ。近衛。お前がそんなだから刹那が苦しんでいるのだぞ?」
「ほえ?」
「お前の温もりを感じてしまったときから,刹那はお前が欲しくて堪らないのさ。」
「?」
「こう言うことだ。」

龍宮は周囲をうかがい何者かの気配を確かに確認すると,
木乃香の肩に手を這わせそっと木乃香に口付けようとした。

「ぉぉぉぉお!お嬢様に!触るなぁぁぁっ!!不埒者ぉぉ!!!」

疾風のごとく踏み込まれ,豪快な太刀筋が真名を襲う。
言うまでもなくそれは,野太刀「夕凪」。
踏み込む人影は……。

「せっちゃん!」

桜咲刹那その人だった。

45 名前:7/13[sage] 投稿日:2007/05/29(火) 17:33:18 ID:weXAdbSC
「やっと出てきたか。お嬢様に合わせる顔がないとか言っていたような…?」
「誰のせいだ。ばか者。どんな事情があろうとも,お嬢様をお守りするのが私の勤めだ。」

太刀を収め,木乃香を背に庇い,真名と昨日のことで
喧々囂々(けんけんごうごう)の口論を始める。
そんな様子を眺めていた木乃香は,こみ上げてくるものを感じ
刹那の背中にそっと抱きついた。

「お”お嬢様?」
「せっちゃん。うち嫌われてもうたかと思ったえ……。」

何らかの事情で離れ離れになるより,刹那自身が離れていってしまうのが何より辛い。
そう感じていたのかもしれない。一筋涙を流す木乃香に優しく刹那が応える。

「お嬢様。私の身も心も,髪の毛一本まで,私はあなたのものです。」

刹那は木乃香のほうへ向き直ってそっと抱きしめる。

「最後まであなたと共に…。そして必ず守り抜きます。」

「うち……。浮気は許さんよ。」
「いや(汗)。だからあれは事故です。龍宮が私をからかって…。」

刹那のその言葉に,ふと先ほど聞いた龍宮の言葉を思い出した。

「せっちゃん,さっき龍宮さんが…。」
「良いんです。お嬢様のお傍にいられることで私は余りあるほどに幸せなんですから。」

何も気にするなと,刹那は目で木乃香に訴える。

(やせ我慢して……。あのバカは。)

46 名前:8/13[sage] 投稿日:2007/05/29(火) 17:34:11 ID:weXAdbSC
そのやり取りを眺めながら,龍宮は思案していた。

「真名。ここにいたでござるか。」

そうこうする間に楓が真名を迎えにきた。
どうやら本日真名は楓の部屋にお泊りらしい。

「と言うわけだ。近衛。刹那が寂しがるから,今夜は泊まりに来てやってくれ。」

木乃香にそう言いつつ,そっと小声で告げる。

「刹那がお前を欲しいと言う意味。知りたいなら今夜問い詰めるがいい。」
「龍宮さん……。」
「誰だって,相愛の人とは一つになりたいものさ。」

チラッと楓の方を見つつ,そう言い残すと,
先に行くからと真名は楓と仲睦まじく去っていった。

(……どういう意味なんやろ?)
その言葉は,木乃香の脳裏に染み付いて離れなかった。

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