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266 名前:1/8[sage] 投稿日:2007/06/12(火) 23:45:56 ID:ommh38hG
初夏のさわやかな風が心地良い,休日の午後。木乃香は合わせた刹那の浴衣と
自分のそれを綺麗にたたんで,お茶を用意して戻ってきた刹那からそれを受けとった。

「それにしても…」

飲み物に口をつけ,一息つく。

「せっちゃんがお昼寝って珍しいこともあるんやな。」

刹那の体がピクっと反応した。表情もやや硬い。しかし木乃香はそれは気にせず
またお茶をすする。木乃香が感じた珍しいこと,それは昼寝以外にもあった。
刹那の立ち姿を下から上まで眺めると,その見事な脚線美に思わず溜息をつく。

「それに今日の服はあんよがとってもセクシーやw」
「あのっ…そのっ…今日は……。」

刹那は慌ててひざを畳み,敢えて指摘しなくてもいいのにと木乃香をジト目で見つつ,
グラスに口をつけた。刹那らしからぬ服装をしていたのにはそれなりの理由があった。

267 名前:2/8[sage] 投稿日:2007/06/12(火) 23:47:16 ID:ommh38hG
◇◆◇

「最近かまっているのか?」

仕事の後処理の最中に不意に投げかけられた真名から刹那への問い掛け。

「ん?何をだ?」

質問の意図に見当もつかず,刹那は手は動かたまま質問を投げ返す。

「近衛だ。」

刹那はパンパンと手を払い。背筋を伸ばして振り向いた。

「お前には関係ない。」

つっけんどんな口調で言い捨て,帰り支度を始めた。その様子に呆れた真名は刹那の隣に
移動し,自分も帰り支度をしながら話す。

「あまり放っておくと…………………………………………捨てられるぞ。」

後半ボソッと聞こえた真名のその言葉に刹那の手が一瞬止まる。

(ホント。単純だなコイツは……。)

憎まれ口をたたきつつも,実は木乃香のことが気になってしかたがない刹那だった。
真名に図星を突かれ,やや面食らった点もあったのだろう。最近退魔の仕事も立て続けに
依頼があり,刹那にとっては少々オーバーワーク気味であった。
余裕のある笑みで絡んでくる真名の鼻を明かしてやろうと刹那は同じ質問を返した。

268 名前:3/8[sage] 投稿日:2007/06/12(火) 23:48:27 ID:ommh38hG
「そう言うお前はどうなのだ。龍宮。お前だって最近ずっと私と一緒だったではないか。」

同じく図星を突いてやろうと,刹那は狙った質問のつもりだったが,真名はしれっとした
口調でつぶさに切り返した。

「ん?私か?…帰ったらご奉仕だ。明日の晩は外で泊まるから,近衛を連れ込んでも大丈夫だぞ。」

真名の言動が刹那の胸に突き刺さる。真名は意味深げに刹那の耳元で言葉を続ける。

「お前の大好きなお嬢様にも偶にはサービスしないと……な。」

真名は”な”を強調した。どんな思いが込められているのか,刹那は感付いたようである。
片方の眉を吊り上げ,頬を赤らめる。

「わっ私はお前のような節操無しではない!」
「…顔に………欲求不満ですって書いてあるぞ。」
「うひゃっ?!」

刹那は慌てて顔を両手で覆う。…が,まんまと嵌められたことを,真名が腹を抱えて
苦しそうに笑っている姿から悟った。

「まぁ,ひとまず帰ろうか。」

そう言って二人は寮への帰路についた。

◇◆◇

269 名前:4/8[sage] 投稿日:2007/06/12(火) 23:50:12 ID:ommh38hG
寮に戻ると部屋の前に人影が見えた。刹那は決して見間違えなどしない。それは木乃香だった。
帰りを待っていたのか,うろうろと周囲の様子を窺っている。廊下を歩いてくる二人の気配に気付いたのか,大きく手を降って自分の存在を二人に知らせていた。
ドアの前で立ち止まる。真名は木乃香に挨拶をすると,すぐに部屋に入ってしまった。
静けさの広がる廊下に二人の気配だけが残った。

「お疲れ様やね。せっちゃん。」
「ずっとここにおいでだったんですか?まだお寒いでしょうに。どうぞ中へ入ってください。」
「ええねん。せっちゃんの元気な顔見れただけでうちはええんや。」
「お嬢様……。」
「疲れてるとこ堪忍な。お休みせっちゃん。また明日お邪魔するえ。」

そういって軽く刹那にキスしてその場を去っていった。長居しなかったのは刹那への気遣いからか。
そう思うと刹那の胸は切なくて堪らなかった。今すぐにでもこの手で抱き締めたいと思うのは,
けしておかしいことではないはずだ。しかし去っていく木乃香の背中を追うことは無かった。

「ん?近衛は?」

てっきり入ってくるものだと思っていた真名は着替えを済ませた後,部屋を片付けてくれていた。

「……戻られた。」

刹那はボソッ呟くと,やるせなく荷物を置き,服を脱ぎ捨てた。刹那は,木乃香に心配をかけさせていたことを今更ながらに痛感し,何も気遣いができなかった自分に腹が立っていた。

「荒っぽいな…。……サービス……必要だったろ?」

様々なところに気が回る真名が少し憎かった。

「……お嬢様には,どんなサービスが良いのだろうな?」

悔しさを全身で表現して,刹那は真名に相談を持ちかけた。そんな刹那の姿を見て,優しそうに真名は微笑んで見せた。

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