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15 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2008/01/30(水) 09:17:48 ID:kv8HJnFx
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自分の家なのに少し戸惑う。
こんなに大きかったろうか。
暫く見ないうちに大幅な増築でもしたんじゃないかと思う程近衛家……いや、関西呪術協会本部は広大な敷地面積を誇り見るものを畏怖させる。
帰ることは伝えていない。
だから修学旅行の時のような出迎えはないはずだ。
正直、木乃香はあれが苦手だった。
大袈裟すぎるそれは否が応にも自分は他のクラスメイトとは異なる存在なのだと突き付けられるようで。
だからこそ刹那に惹かれたのかもしれない。
ごく普通の幸せとはなんだろう、と考えた先にはいつも刹那の顔が浮かぶからだ。
刹那は……多分自身に平凡を求めている。そう聞いたことはないが、そうだと木乃香は思う。
……問えば彼女は「強さ」を望むと答えるだろうが。
それに応えるのも役目かもしれない。
魔法使いを目指す切っ掛けのひとつ―今は理由の全てになっていたが―、刹那の癒し。
何をしているのかたまに傷だらけで帰ってくる刹那の為に何が出来るのか。そればかり考えていたことがある。
秘めた魔力を習練により上手く引出せばネギの父をも上回る治癒力を得られると知ってからは早かった。
………刹那の傍に居たかったのだ。
いつも守られるばかりで何も返せていない。だから、自分に出来ることを見つけたかった。
いや、それ以前に。
どこか冷めた目をした、色白の少女が……、好きだったから。
…きっと、初めて会った時から。
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16 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2008/01/30(水) 09:19:09 ID:kv8HJnFx
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刹那を拾い助けた父にならきっと理解ってもらえる。
先ずは父を説き伏せ、それを取っ掛かりにいずれは協会の老中達を。
時間は掛かるだろう。
根気もいるだろう。
でも。
「……大丈夫やんな、
………せっちゃん?」
その名を呟く。
不思議とやや沈み掛けていた気持ちも上昇する気がした。
無理と知っても諦めたくない。
刹那と共に或る未来が欲しいから。
それ以外は要らない、何も。
ただそれだけのことなのだから。
単純かつ、明快じゃないか。
木乃香は軽く目を瞑り深呼吸すると、総本山へと続く長い…長い階段を登り始めた。
…木乃香は知らない。
この階段の先にある……現実を。
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17 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2008/01/30(水) 09:20:21 ID:kv8HJnFx
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「刹那さーん」
コンコン、と木の持つ柔らかい音がした。
その声が聞き慣れたクラスメイトのものだと知ると刹那は返事をしつつドアを開けた。
「あ、刹那さん。ゴメンねいきなり」
「どうかしました?」
仕草で部屋へと招き入れる。明日菜はお邪魔しまぁ〜す、と言いながら小綺麗に片付いた部屋を見回した。
「なんか性格出るんだろーねー」
「え?」
「すごい刹那さんぽいっていうかさ。きれい」
「物が少ないだけですよ」
事実そうなのもあるが、余計な物があると気になる性分らしくすぐ片付けてしまうのだ、と刹那が補足する。
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