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40 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2008/01/30(水) 22:31:40 ID:kv8HJnFx
「おまえら、ころしてやる、
…ころしてやるころしてやるころしてやるころしてやるころしてやるころしてやるころしてやるころしてやる、ぜんいん、のこさずッ!!!!そのはらさいてめだまをえぐりだし、うでをきりおとして、それからころしてやるッッッッッ!!!!!!!!
おまえら、ぜんいんなぁぁあぁああぁあ!!!!!」

ソレが呪詛の言葉を叫ぶ度に口からは血反吐が飛び散った。
異形の化物は大の男数人に両腕両足を拘束されながら尚も耳を劈くような荒げた声を上げ続ける。
その身体は血塗れで、所々には弓さえ刺さっていた。
生きていることさえ不思議なまでの出血量。
…………それなのに。
分かりやすい『化物と人間の差』を目の当たりにした男達の中には、戦意を喪失し喚き散らすだけの者も居た。
それほどまでに…………桁違いの恐ろしさだった。
人間にしたらまだほんの子供ほどの体格に獅子数頭にも匹敵するだろう力。
万一を見据えて両手では足らぬ頭数を揃えたと言うのに、今や動ける者は3人といった所か。

白い…いや、銀?
陽に透けて光る頭髪はそのままの姿であれば美しくさえあったろう。
しかしそれもどす黒い血の滲み痕が至る所にこびりつき、元の色を判別することすら今は難しい。
そんな凄まじいまでの大怪我―満身創痍などもうとうに超えていよう―を負いながらも、流す血よりも数段紅い瞳をぎらぎらと鈍く光らせながら拘束者に抵抗する。
………これが人ならざる者の力か。
飛び道具でこれ以上ない程痛めつけ、弱り切っただろうと早合点し近付いたことを彼等は後悔し始めていた。
一体この小さな身体のどこにこんな力が残っていると言うのか。
口に猿轡を噛ませても狂犬の如く息を漏らしながら、迫害を加える者を圧倒的威圧感を持ちながら睨みつける。


41 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2008/01/30(水) 22:32:20 ID:kv8HJnFx
不意に誰かが殺してしまえば、と呟いた。
焦燥から来る言葉とは言えそれは少なからず仲間の反感を買った。
化物に食らいつかれた腕の傷を抑えながらそれでも続ける、上の「意思」と「計画」など末端の自分達には関係の薄いもの。
嗚咽とも取れる声でそう呟き続ける。

彼だけではない。
………努力はしたのだ、と言い訳してしまいたいと口に出さずとも今や誰もが思っている。
だが、殺すわけにはいかない。

…………絶対に、
殺スワケニハ、イカナイ。

生きて捕らえる。
それが任務だった。
しかし、…それを遂行するには今や彼等は犠牲を払いすぎていた。


42 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2008/01/30(水) 22:33:35 ID:kv8HJnFx



…ソレを遠くから見つめる者、一人。
彼の手もまた、ここに広がる………紅い色に染められている。
ただ、『ソレ』とはひとつ違っていた。
その手は何故か段々と赤黒い血の色が薄くなっていくのだ。半紙に墨汁を垂らすように、じわり…じわりと。
落ちる滴が血を洗い流しているのだということに気付くのが少し遅れた。
………あまりに皮肉の利いた自分の身体に苦笑すら零れない。

「………ふ………はは……」

………………馬鹿か、私は。
今から自分のすることが何かわかっているのか?
今ここで助けたところで何になる。
むしろ……此処で……

しかし、最終的に彼を動かしたのは……安っぽい良心のカケラ。

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