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73 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2008/01/31(木) 20:29:13 ID:L8pj4j8r
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光のように閃いたそれは神の囁きか、悪魔の入れ知恵か。
どちらにしろ詠春にはこの窮地を脱する為の最善の道のように思えた。

怒りからなのか獣化し、彼が一度見たことのある愛らしい姿とは一変した少女にその力を一時的に麻痺させる注射を一瞬の隙を突き打ち、ひとまず保護する。
溶けるように元の姿へと変化していく少女を見つめながら詠春は………立ち尽くしていた。
仲間の屍、村人の屍。
生きているのは………自分とこの子だけだった。

「…………すまない、
………本当に……………
君、の………



大切なモノを…………奪って…………しまった…………………ッ!!!
すまない…………すま…………ない………………!!!」

動きを止めた少女をその父がしたように…抱きしめた。
………小さい…………、こんなにも………………。


74 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2008/01/31(木) 20:30:14 ID:L8pj4j8r


頬や瞼にこびりついた血が、暖かい滴で少しずつ落ちてゆくのを………少女はどこか夢の中で感じていた………


75 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2008/01/31(木) 20:30:59 ID:L8pj4j8r
泣くだけなら誰にでも出来る。
安っぽい良心のカケラに従い保護した少女をどうしようと言うのか。
詠春は今それを問われていた…………。

「『その日』が来たら…………いつか、来たのならば!!その時お渡し致します!!
ですから…………」

無駄と知りつつそう嘆願する。
案の定、答えは否。
その通りだ、目覚めたら親の仇である自分を殺しにかかるだろう。
そうなれば今度こそ無事ではいられまい。
しかし、この少女が『永遠に人ではなくなる』ことは詠春にとってどうしようもなく心苦しかった。
いや、心苦しいなどとは生温い。

……罪滅ぼしのつもりだったのか、贖罪か。

「………………死にたいか、詠春」

低く、それでいて小心に突き刺さるその声。
だが詠春は叫んだ。

「ならば!!!この子の記憶を完全に消し………私が全責任を以て監督致す!!
ですから………ですから………!!」

「……随分と肩を持つのだな」

落ち着いた……しかし聴く者を畏怖のどん底まで突き落としそうな声。
………目を見て話すなど到底叶わない。
詠春は震える唇に発破を掛け、もう一度叫ぶ。
最大の勇気を絞り出し、キッと前を向く。
震えは老人達から見たら一目瞭然だったことだろう。

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