|
<< 前頁
◆AIo1qlmVDI 氏
次頁 >>
|
132 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2008/02/07(木) 23:04:18 ID:q63VShyV
|
「父娘共々同じ道を選ぶ、……か………最早血に刻まれた宿命なのでしょうね。
まぁ生き方は自由ですよ、貴女の判断を卑下するつもりは毛頭ありません。
そう、生き方は自由だ。……『人』であればね、ふふ」
長はそう言ってにこりと笑う。
彼だけが異様に若く、妙に場から浮いて見えた。…年の頃は25、6と言ったところか。
何故こんな年で長の座に就いているのか木乃香は知らなかったが、今はそんな瑣末なことを気にしている場合ではないだろう。
「…ふふ、僕は貴女のその生温い性格、嫌いではありませんよ。
だが、邪魔をするようであれば話は別です。
どうですか、楽に生きませんか」
「………何が狙いですか」
「ふふ、そう構えないでください。
ただ僕は翼の姫君をお連れする為に貴女に協力して戴きたいだけなのです」
翼。
その単語から容易に刹那が思い浮かぶ。
連れてくる…?何の為に…?
どんな訳があるにせよ、父に拳を上げる人間達に真当な理由があるとは思えない。
出来る限りの気迫を以て相手を睨む。
|
133 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2008/02/07(木) 23:05:12 ID:q63VShyV
|
「嫌や、言うたら?」
「貴女に拒否権はない」
柔らかな姿勢と口調でそう言われ、ほんの少し気が和らぐ。
「…聞いた意味、あらへんやんか」
「単なる意思確認です。
良い答えは貰えないようですね?」
「……せっちゃんをどないするつもりや」
「せっちゃん…?
あぁ、姫君の愛称ですか、ふふ、可愛いですね」
両の腕を掴まれ、思うように動くことを制限される詠春を横目に入れながらまたも長を睨む。
「どうもしませんよ。
ただ、頭主との約束を果たしてもらうだけです」
「………?」
話が見えずに困惑する。
今は刹那の話をしている筈なのに何故詠春の名が出るのか。
刹那が詠春と何か約束を取り交わした…?
「僕はね」
「……何や」
|
134 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2008/02/07(木) 23:06:02 ID:q63VShyV
|
「白き羽根持つあの少女が……ふふ、愛しくてならないのですよ。
もう直き……時が満ちる。
僕らの願いは……漸く………叶う……。
ふ………、
……ふふ………ははッ!!!あはハはッ、ははハ、あハ、あはハははははッ!!!」
常軌を逸したその笑い方に一瞬にして背筋が凍る。
詠春もその例に漏れず、ただ唇を噛んだ。
木乃香の先程までの多少の威勢も今では掻き消えたように跡形もない。
狂気の笑いとは正にこのことだろう……。
誰一人つられて笑う者はないのに、気違い染みた笑い声は続く。
それは……戦慄の奏。
…………せっちゃん…………、この人、…………誰?
|
|
<< 前頁
◆AIo1qlmVDI 氏
次頁 >>
|