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149 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2008/02/08(金) 18:06:24 ID:wSs1cGuA
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不思議と刹那もそう心から思えた。
策など本当に何もないが、…ないからこそ出来るのだ。
無鉄砲過ぎる明日菜と慎重派な刹那。
案外相性がいいのかもしれないな、と苦笑気味に刹那は思った。
……またあの感情が沸こうとも、明日菜がいれば……きっと。
後先を考えすぎて結局保身に走るばかりだった今までを振り返りそう思う。
そうだ、護衛解任だろうと気持ちは残るのだ。
形式を恐れるばかりで具体的行動に移れなかった自分を今なら殴れるだろうか?
……何が起こっているのか、何が自分を待つのか。
それはわからないが、木乃香、そして恩人である詠春の為ならば命など簡単に捨てる覚悟で生きてきた。
それなのに…何故?
理由の知れぬ恐怖の訳。
関西呪術協会の黒き陰。
弱冠の審議長。
全てを知る者は……いるのだろうか。
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150 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2008/02/08(金) 18:07:41 ID:wSs1cGuA
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*****
瞳を閉じ、思いを馳せる。
……十年前のあの日へと。
彼の目に川縁で銀髪を揺らす、澄んだ紅い瞳を持つ少女が映る。
成長したらさぞ美しくなることだろう、そう思わせる横顔に暫し身惚れる。
声を掛けると少女は振り向き、そして微笑んだ。
在り来たりな軽い挨拶を交わし近寄るが、少女は川辺のタンポポと戯れるばかりで彼に対し何の不審感も見せない。
手を伸ばし銀髪に触れた。
少女は不思議そうに彼を見たが、撫でるその手を拒否したりはしなかった。
何故なら村の誰もが少女に対しよくこうしていたからだ。
だから見知らぬ余所者の彼がそうしても少女は怯える様子も見せず、ただ嬉しそうに彼を見ていた。
「おにいちゃん、どこからきたの?」
「……僕?」
「まいごになっちゃったの?なにしにきたの?」
子供らしい幼い問い掛けに一瞬、ぎくりとする。
自分の思惑が既にこの少女に見抜かれているような気がしたからだ。
無意識に思わず辺りを見渡す。
だが村の住人達が農作業に勤む姿があるだけで、そこにはありふれたのどかさしかない。
彼は自分の小心を自嘲気味に笑ってから答えた。
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151 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2008/02/08(金) 18:08:12 ID:wSs1cGuA
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「…………探しているモノが……、あるんだ。
もしかしたら………ここにあるかもしれないと……思ってね」
迷子か。
ふふ、そうかもしれない。
「ふーん?
じゃあここでみつかるといいね!」
「…ありがとう。
綺麗な髪だね」
もう一度髪を撫で、心から湧いた気持ちを伝えた。
「えへへ、ありがと」
少女が嬉しそうにまた微笑む。
その屈託の無さは彼の芯をとらえるに十分だった。
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156 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2008/02/08(金) 19:51:37 ID:wSs1cGuA
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「ねぇ」
「なーに?」
「……ボクを、
……………」
六日後。
村は惨劇を迎える。
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