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223 名前: ◆AIo1qlmVDI [sage] 投稿日:2008/02/13(水) 19:41:11 ID:zcgxCtUo
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「お嬢様は忘れてしまったよ、キミが殴られ倒れる様を。
だってキミはあの子に平穏を望んでいたんでしょう?
……ふふ。僕がそれ、叶えてあげたよ。
あのおっとりお嬢様には血腥い空気は合わないよね」
目隠しを外され、拘束具も全て解かれている。
だが詠春は動かない。
……動けない。
「やだな、死んだの?」
兼定は詠春の髪を掴むとしゃがんだ自分の高さまで顔を持ち上げた。
「……ふふ。
生きてるなら生きてるって言ってくれなきゃ困るなぁ……。
もうすぐ……、あは。ははッ!!翼の姫君も僕に会いに来てくれるって言うのにさ、そんな辛気臭い顔しないでよッ!!」
「何を…………するつもり…………だ」
乾いた血が固まり上手く喋れない。
……喉が焼けるように痛かった。
「…………ふ、」
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224 名前: ◆AIo1qlmVDI [sage] 投稿日:2008/02/13(水) 19:41:44 ID:zcgxCtUo
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暗く澱んだ部屋に掠れた声がひとつ、落ちた。
「…………ふ、ふふ…………、あは、あはははははははははははははははははははははははははははははははははッ!!!!!!
あは、あはははは、あっはははははははは!!!!!
何を言うの、コレはキミが提案した事だよ?十年前キミが翼の姫君を抱えながら語った計画でしょう?!
嫌だな、記憶を消すのはお嬢様だけって手筈だったんだけどキミのも消されちゃったのかなぁ?!僕は指示を間違えちゃったのかもしれないねぇ!!!
あは、あは、あはははははははははははははははははははははははははははははははははははは!!!!!!!」
……狂気としか言い様のないその笑い声はその場にいた者全員を戦慄に染めた。
……ただひとり、詠春を除いて。
「…………他にも……ッ、方法は…………ある筈だ……!!
何もあの子を使わずとも…………」
前髪に隠れた兼定の眼がその一瞬にして表情を変えた。
髪を離し、額に指を当て直す。
……鈍い音が響いた。
無表情で、いつも浮かべている冷笑すら今は無かった。
壁に掴んだ詠春の頭を容赦無く打ち付ける。
壁はどんどんと赤黒く染まり、次第にその染みも広がっていく。
その光景に、それを目の当たりにした老人達数名は本能的恐怖を覚えずにいられなかった。
最初の方こそ手で額を守る仕草を見せていた詠春がそれすらしなくなった時、老人達の誰もが思った。
『ちかづけば、
…………ころされる』
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226 名前: ◆AIo1qlmVDI [sage] 投稿日:2008/02/13(水) 20:01:37 ID:zcgxCtUo
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「詠春。
……ふふ、……僕はキミが嫌いじゃないよ」
最早聞こえているかすら怪しい詠春に語り掛ける。
「僕はキミをとても好き。
だからさ、大事にしてあげたいんだよ?」
割れた額に手をやりその血を拭う。
「……やくそく、まもってほしいなあ。
下らない親子愛なんか反吐が出るよ」
死んだように動かなかった詠春の眼に光が戻る。
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227 名前: ◆AIo1qlmVDI [sage] 投稿日:2008/02/13(水) 20:02:12 ID:zcgxCtUo
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「……………………ッ!!」
「うん。何かな?」
「親として……!!!
子の幸せを…………!!願って…………何が悪いのだ…………!!!!
何の罪があった?!造られた存在に過ぎないただの少女を……!!!人に生まれなかったというだけで……貴方は……ッ!!!」
「……だから、そういうの、
下らないよ」
詠春の意識は人為的に切れた。
ぷつりと、突然に。
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