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232 名前: ◆AIo1qlmVDI [sage] 投稿日:2008/02/13(水) 20:06:27 ID:zcgxCtUo
*****

兼定と刹那の対峙より数日前、エヴァンジェリン宅にて――




呼鈴が鳴った。
暫くすると従者が客が訪ねてきたことを報せてきたのを意外に思いながらも腰を上げる。
この家に来る者などぼーや以外にいやしない。
なので勝手に判断しそれが誰かも聞かずに通してしまったことを後悔した。

「やぁ、……久しぶり」

「…………全くだ」

恐らく顔が引きつったことだろう。アルビレオ並……いや、それ以上に嫌いなモノが目の前に居るのだから。

「上げてくれるとは思わなかったな」

運ばれてきた紅茶には手を付けず、添えられていた角砂糖を2,3粒口に放り込む様を見て溜め息が出た。
嗜好と思考が変わっていないことでもアピールしたいのか、などと勘繰ってしまう。


233 名前: ◆AIo1qlmVDI [sage] 投稿日:2008/02/13(水) 20:06:57 ID:zcgxCtUo
「ボクは君が好きじゃないけど、君もボクを好きじゃないでしょう?」

単刀直入にも程がある口の利き方もやはり健在らしく、元より滅入り気味の気が更に滅入った。

「……良く分かっているじゃないか。
用件言ってさっさと帰れ」

「お互い嫌っているってさ、ボクは案外作業効率がいいと思うんだ」

「何が言いたい、相変わらず回りくどいな」

テーブルに置かれたカップを手に取り掌に馴染ませる。
その間も角砂糖を口に運ぶのはやめない。
……私も人ではないとは言えこいつの言動は理解の範疇など軽く超えている。
菓子か何かと勘違いしているにしても異様に見えた。

「相手の考えが分かりやすいってことだよ」

「……成程な」

「ねぇ、ボクは君が嫌いだけどボクを助けてくれるならそれなりの対価は渡せるつもりだよ」

白く細い指を突き合わせながら微笑む彼を紅茶を啜るふりをしながら眺める。
本当に……相変わらずだ。


234 名前: ◆AIo1qlmVDI [sage] 投稿日:2008/02/13(水) 20:07:45 ID:zcgxCtUo
「話だけは聞いてやってもいいが」

「……ふふ、現金だね」

「五月蠅い」

「外に出してあげるよ。
この中は退屈でしょ?」

「生憎だが昔程退屈でもない」

「……そうなの?……ふぅん……
あの赤毛魔法使いが帰ってきたとか?」

「……その名は出すな」

「……名前……言ってないよ?第一知らない、ボクは。
まぁいいや、外に興味がないなんて随分変わったんだね」

「お前も昔程飛び回らなくなっただろう」

「……ふふ、ボクが飛び回ってたなんて何百年前の話?」

「さぁな。
とにかく前程外に興味は無い、奴が生きている事も分かっているしな。その内出られる」


235 名前: ◆AIo1qlmVDI [sage] 投稿日:2008/02/13(水) 20:08:39 ID:zcgxCtUo
現にアルビレオのカードは死んでいない。奴の生きている何よりの証拠だ。

「あはは、困ったな。
助けてもらえないとなるとボクは非常に窮地に追い込まれるよ」

「それは結構だな」

「白い……翼」

その単語に耳が反応する。

「羽根か?
お前もいよいよ危ないな、悪魔にでもなるつもりか」

「さぁ?……ふふ、どうかな」

言いながら手を伸ばした先にもう角砂糖がないことを見るや途端に顔をしかめる。
これ以上五月蠅くなるのもうんざりなので茶々丸にその旨を伝えた。

「……何をしろと言うんだ」

「翼の剣士に致命傷を」

運ばれてきた角砂糖を5,6個掴み口に放ると、目の前の甘党はそう言った。

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