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◆AIo1qlmVDI 氏
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254 名前: ◆AIo1qlmVDI [sage] 投稿日:2008/02/15(金) 20:56:05 ID:OvcK25Ys
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「兼定様……、甘い物がお好きなのですね」
角砂糖半袋を平らげた跡を視界に移しながら茶々丸が言った。
「今のは兼定じゃない」
甘いものというよりは砂糖である。
単なる菓子好きとも取れる言い方は間違いだと言おうかとエヴァは思ったが特にその必要もないのでそこは黙っておく。
「……?」
茶々丸の自動思考回路をついさっきまで自分の脇のソファーに腰掛けていた人物の情報が駆け巡る。
あまり多くないとは言え、骨格表情仕草どれを照合してみても結果は『来訪者は近衛兼定』と表示される。
「奴が兄か弟か知らんがあいつは兼定の兄弟、鷹峰だ。
いや……双子なのかもな」
「……タカミネ」
瞬時にその情報を新しくインプットする為の作業を開始する。
……が、兼定との相違点が一つも無いので入力は拒否された。
その様子に気付いたらしく、エヴァが笑う。
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255 名前: ◆AIo1qlmVDI [sage] 投稿日:2008/02/15(金) 20:56:51 ID:OvcK25Ys
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「私もあいつらを識別するのに苦労する。
が、あいつは間違いなく鷹峰だよ」
ごっそり減った角砂糖入りの袋を叩きながら言った。
「兼定は甘いものは食べない」
「そうですか」
たったひとつの差を入力し、新しく人物の検索ワードに追加した。
「マスター」
「ん?」
「どうなさるおつもりですか」
比較的穏やかな表情でいたエヴァだが、途端にそれはひき締まる。
「……断るに決まっているだろう」
「そうですか」
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256 名前: ◆AIo1qlmVDI [sage] 投稿日:2008/02/15(金) 20:57:30 ID:OvcK25Ys
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「……なんだ」
「いえ、承諾するものと」
「……馬鹿にするな。
奴の条件に一瞬傾いたのは確かだが飲むわけがない」
カチャ、と音を立てて紅茶が置かれるのを尻目に続ける。
「奴は生きているんだ、焦らずともいい。
今日まで何年待ったと思っている?私はその間奴の生死を知らずに待った。
だがな、今は確実に生きているという事実がある。
今更会うのが早まったところでなんだと言うんだ?
鷹峰の算段に乗る必要などない」
珍しく自分に対し饒舌になったエヴァンジェリンを見て茶々丸は思う。
……やせ我慢をしている、と。
しかし従者として主人の気に障るようなことを言うべきでは無い。
茶々丸の人工知能はそう判断したので、これ以上弄るのはやめておいた。
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257 名前: ◆AIo1qlmVDI [sage] 投稿日:2008/02/15(金) 20:58:49 ID:OvcK25Ys
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明日菜の頬を脂汗が垂れる。
猪突猛進型馬鹿の明日菜でもこの状況が良いものかそうでないか位わかる。
体格の良過ぎる屈強そうな男が数人階段を上がって来たのを見れば幾ら馬鹿でも気付くというものだ。
抱えたままの木乃香をどうするか一瞬迷ったが、明日菜は腹を決め階段の脇を固める松林を突進んだ。
「ごめん木乃香っ、痛かったらサロンパス後であげるから我慢プリーズ!!」
何処に突っ込むべきか木乃香は迷った。
しかしこのツインテールの少女に自分への悪意は少しも感じられない。身を任せることにも不思議と不安はなかった。
が、見覚えのある服を纏った男達が明らかに自分等を追って来ることにはさすがにそう悠長なことも言っていられない。
「あ、あの……っ」
「何?!今取り込み中!!」
「う、後ろ……」
「後ろ?!
な、なにあれ―――――――!!!」
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