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◆AIo1qlmVDI 氏
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258 名前: ◆AIo1qlmVDI [sage] 投稿日:2008/02/15(金) 20:59:20 ID:OvcK25Ys
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言われて振り返ってみると、何とも物騒な物を担いだ男が目に入る。
……鉛色に光る細長い円筒型のもの。
軍備知識などカケラもない明日菜であるが、……それは素人目にも小型のバズーカ砲に見えた。
「うううう撃ったりしないよね?!よね?!」
「わ、わからへん」
テロのニュースで良く聴く音がしたと同時に、二人の2,3m横の松林がほんの一部ではあるが吹き飛んだ。
その断片が明日菜の頬を霞め、元より猛ダッシュ気味だった脚を更に加速させる。
「ちょちょちょちょっと―――――――っ?!
冗談きつい通り越してるよね―――――――っっっ?!」
時速100キロはあろうかという明日菜であった…………。
数人を先導する男の一人がぼそりと言う。
「…………構わん、Eを使え」
そのあまりに早い決断に男達の表情が瞬時に変わる。
「し、失礼ですが……っ、我々だけで十分かと……」
彼らは素人を捕えることくらい朝飯前な訓練など腐る程積んでいる。
にも関わらず威嚇射撃一発のみで即Eを使うとは正に夢にも思わなかったのだ。
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259 名前: ◆AIo1qlmVDI [sage] 投稿日:2008/02/15(金) 21:00:09 ID:OvcK25Ys
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「威嚇に応じぬ肝を持った輩だ。
逃がしたらどうするつもりだ、……我々が消されるぞ」
彼らに殺傷能力を持った武器―威嚇用に使った小型バズーカは除くが―の使用は現時点では許可されていない。
先程明日菜が冗談じゃねーよと喚いた物も文字通り威嚇に過ぎないし、思い切り外して発射されている。……当たれば死ぬが。
この程度の距離を狙い撃つことも彼らにとっては容易いことだ。しかし、それでは木乃香も危ない。
催涙弾という手もあるが、即効性・確実性を考慮するとやや心許無い。
木乃香に疵をつけてはならないし、それ以上に逃がしてはならないのだ。
「しかし……!」
その間も明日菜は尋常ではない脚力を見せつけその差を広げていく。
議論している余裕がないことは勿論分かっているが、彼らは出来ることなら『E』に遭遇したくはなかった。
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260 名前: ◆AIo1qlmVDI [sage] 投稿日:2008/02/15(金) 21:00:43 ID:OvcK25Ys
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「……俺も見たくはない。
気持ちはわかる」
屈強そうな表情を更に頼もしげに見せる髭を撫で付け言う様を見て、その指揮下に付く一人は無線を取り出すと額に手をやりながら上官の指示通り呟いた。
「……E、目標の進行を阻止せよ。
及び最優先事項を近衛木乃香の回収に設定。
場合によってはカグラザカアスナへのコード02適用を許可する」
『………………あ"はッ』
ノイズ混じりのその声に身震いがする。
無線を離し、腕を見るとその肌には鳥肌が立っていた。
その数秒後、階段上で刹那に語り掛ける兼定と瓜二つの男が降り立ったのを明日菜は視界に映していた…………
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261 名前: ◆AIo1qlmVDI [sage] 投稿日:2008/02/15(金) 21:01:35 ID:OvcK25Ys
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石畳の上に立つそれと視線を繋ぐ刹那。二人を見る者は誰一人としていない。
刹那は動かぬ兼定をただひたすらに睨むが、それが虚勢であることは兼定には知れていた。
「……ふふ、怖がらなくていいよ、……僕は君が好きだから」
歯を食いしばり、それが鳴るのだけは辛うじて防いだ。
これが今の刹那に出来た最大限の行動である。
「ねぇ、怯えなくていいんだよ?
もうすぐ君の大切な大切な……あはは……お嬢様もここに来るんだし」
「…………お嬢様に……何を……した……ッ」
兼定がやったという確証はないが、今の表情からそれは確信に変わる。
「……少しね、記憶を整理しただけだよ。
ごめんね、君のことも消さざるを得なかったんだ。悪く思わないでいてくれると嬉しいなぁ……ふふ」
「何を消した…………!!」
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