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317 名前: ◆AIo1qlmVDI [sage] 投稿日:2008/02/21(木) 21:34:54 ID:Xga46jX6
記憶の海、数百年を溯る。

血に塗れた白き翼、散り逝く命。
あの日の咆哮に瞳重ね、風に髪を任せる。

想いの先にこの手届くには余りにも現世は無情だ。
……ならば、我が願いの礎と為るべき者を見出だそう。

それこそ積年の刻を掛けるに値する。



……あぁ、僕はどんなに君を待ったことだろう。
…………もうすぐだね。





318 名前: ◆AIo1qlmVDI [sage] 投稿日:2008/02/21(木) 21:35:26 ID:Xga46jX6
*****



叢に伏して倒れる明日菜の元に駆け寄り、肩を掴むと身体を空に向けた。

「アスナ…………っ、さん…………っ!!」

傷だらけの明日菜を見てどうしようもない自責の念が刹那を襲う。
……巻き込むべきではなかった。
隣に居てくれることは途方もない勇気をくれたが、しかし……!

「あ…………刹那……さん…………」

「大丈夫、ですか…………」

明日菜の口が開いたのを見てひたすら安堵の息が漏れる。
良かった、良かった、……良かった……!!

「ごめん…………木乃香……守れなかった…………」

何を言う、あなたにそんな義務などなかった!!
その責務果たすは私の役だというのに……!!

319 名前: ◆AIo1qlmVDI [sage] 投稿日:2008/02/21(木) 21:36:10 ID:Xga46jX6
「すみません、すみません……、アスナさん……」

「やだな、……泣きそーな顔されるとおじさん困っちゃうな、……なっはっは……」

明日菜は所々血の滲む腕で刹那の頭をぽん、と叩いた。
『大丈夫』の意思表示。
満身創痍とは言わないが、十分に傷ついたその身体を見るとただひたすらに謝りたくなってくる。

「刹那さん……
あたしは平気、だから……木乃香……!追いかけて……」

「そんな……ッ……ことは……!!」

「ダメ……だよ……!
木乃香を守るのが、刹那さんの役目でしょ……?……違う?」

それは勿論違わない、だがしかし……!!刹那にどうして木乃香と明日菜を天秤にかけることが出来よう……?!
急がねばならないことは誰より理解しているつもりだが、ここではいそうですかと木乃香を追う刹那ではない。
首を振り続ける刹那をどう諭そうか明日菜も明日菜で非常に迷っていた。
自分の傷を放って先に行けるタイプではないことなど短い付き合いの中でも十分過ぎる程理解しているのだ。
いい意味でもまたその逆から言っても刹那は律義だ。
この融通の利かなさが刹那の欠点でもあると明日菜は思う。

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