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446 名前: ◆AIo1qlmVDI [sage] 投稿日:2008/03/07(金) 17:21:14 ID:qf3XJIws
多分今日も近衛とその家来(?)とアホ猿は居ないんだろう。
これで実際居なかったら奴らが欠席し出してから丸四日目ってことになる。
流石にこれは皆少しおかしいと思い出す頃だろう。その内捜索隊とか結成しそうだ。
他の世界ならそれはないだろ、と言われることがウチのクラスでは常識なのだから全くやっていられない。
このクラスに割り振った先生諸氏を訴えてやりてーな、私の日常を返せ、ってさ。
……やれやれ、なんでウチのクラスの奴らは人のことにそんなに興味を示せるのかねぇ。

数分も部屋の真ん中で立ち止まっていたことに気付き慌てて机の上の眼鏡を手に取る。
「…………やべっ」
小さく呟いて足早に部屋を後にした。

……願わくば、あの三人が教室に居ますように。






447 名前: ◆AIo1qlmVDI [sage] 投稿日:2008/03/07(金) 17:21:57 ID:qf3XJIws
「………………………」

この世に神様なんか居やしないらしい。
千雨のささやかな祈りはあっさりと却下されたようで、近衛木乃香・桜咲刹那・神楽坂ブヒ菜の席は今日もぽっかりと空いたままだ。
教室をさり気なく見渡せば千雨の予想通り、クラスの騒ぎ立て屋数人が欠席の続く三人の話を回りに振っている真最中だった。
なんで悪い予想というのはこうもビシバシ当たるのだろう。
この的中率ならノストラダムスも目じゃないな、などとくだらないことを考えながら席に着く。
カバンから今日の授業に使う教科書をごそごそと取り出し、机に放り込む。
横文字の綴られた教科書が目に入り顔を顰める。
今日は英語がある。……ネギの受け持ち教科だ。
担任なのだから顔を合わせるのは当然だが、更に別の時間でもそれがあるとなると千雨の気分は自然重くなる。
あの子供は千雨にとって非常に迷惑な存在だ。
可愛い顔した少年が教師というだけで話題性は十分だし、おまけに真面目で有能な天才ときたもんだ。
そしてなかなか人間としても出来た奴なのも、少し癪ではあるが認めざるを得ない。
そんなのが担任で何も起こらないわけはなく、去年の一年間だけで一体どれだけ周りが騒いだことか。
干渉して来る者の居ない環境とは程遠い世界を作るネギが千雨は苦手だった。
当人にその気はなくとも、周りがそうさせるのだからこの評価は少々彼に不憫かもしれないが。
動作の止まった手に神経を送り、英語の教科書を机に押し込む。
……またネギが何か言ってくるかもしれないな、と思うと幾らでも溜息が零れそうになる。
溜息をつくと幸せが逃げる、とは良く言ったものだ。
溜息をつくような鬱屈とした表情の人間には福は来そうにないから。


448 名前: ◆AIo1qlmVDI [sage] 投稿日:2008/03/07(金) 17:22:43 ID:qf3XJIws
笑う門には福来る。
千雨は迷信を信じるタイプではないが、この手の諺はなかなか的を得ていると思う。
かと言ってニコニコするわけでもないのが長谷川千雨のジャスティスだった。
仏頂面は嫌な事しか呼び込まないことに気が付いたのは数秒後。
「ねー」
不意に頭上に掛かった声に顔を上げる。
声の主が誰なのかを確認すると千雨は露骨に面倒臭そうな顔を作った。それが出来ればあまり関わりたくない人種だったからだ。
「何」
「ん?
いやさー、うん。
元気なさそうだなー、みたいな?」
……嘘つけ。
目の前でへらへら笑う人物に対し内心吐き捨てるがそこまで社交性を欠落させるつもりもないのでそれは眉の動きだけにしておく。
「なんか用デスカ」
「いやいやいや、あはは、やだなー、元気?って言ったじゃん」
「生憎ですが気分は良くないです。まだ何か?」
「辛辣だなぁ、クラスメイトに向かってぇ」
ただクラスが同じだっただけでそんな馴れ馴れしい口を利かれるのならそんなもんは願い下げだ。
全く、友達レベル設定の低い奴はこれだから嫌なんだ、少し話したら友達か?
「うーん、参ったなぁ、あはは」
お前が参ろうと困ろうと私は何の関係も無いんだが。
朝倉が何か言う度に内心で突っ込んでいる自分がなんだか可笑しくて笑いそうになる。
「たはは、いやー、攻め難いなぁ。
んじゃ本題っ!
こないださ、ネギ君と二人で夕方の教室に二人きりで居たよねっ?!
そのことについて聴きたいんだよねぇ〜」
「……はぁ?」
「とぼけないとぼけないっ、某ゴキブリ触覚さんのタレコミだからね〜、信頼性の点では疑ってないよ」


449 名前: ◆AIo1qlmVDI [sage] 投稿日:2008/03/07(金) 17:23:34 ID:qf3XJIws
「ただ授業のわかんなかった所を聞いてただけだけど?」
「なっはっはっは、それはないでしょ〜、わざわざ二人きりになる必要性がないもんね!それなら職員室行った方が早いし?
いやぁ、長谷川も隅に置けないな〜」
……殺すぞ色惚けパイナップル赤毛。
「じゃあネギ先生に直接聞いてみたらどーですかー、接続詞の用法を聞かれただけですよって返ってくるだけだと思うけど」
「んん〜?そうなの?
……ふーん、そっか。成程ねぇ〜……。いや、千雨たんも3−A爆闘☆ネギ君争奪31凶に参加してんのかと思ってさ、てっきりポイント稼いでるのかと」
「……なんだそれ」
「あ、知らない?これの勝者は卒業式の後にネギ君とのお花見デート権が進呈されるんだよ!
勝負は簡単ギャルゲ形式!卒業式までに最も好感度の高かった人がウィナーってわけ!今のトコ、クラスの7割が参加表明してるよ〜ん」
そう言って朝倉は1枚のA4サイズの紙を千雨に見せてきた。
そこにはクラスのほとんどと言える生徒の名前が書き込まれている。
……恐らく本人は知らないんだろうな。千雨は少しネギが可哀想に思えた。
っていうか好感度ってどうやって調べるんだ。ネギが伝説の木の下で告白するとかいうエンドでも用意しない限りわかんねぇだろうが。
突っ込みたい気持ちを抑えつつ、何となく誤魔化せたようなのでやや荒い口調も治まる。
「私はそんなんに参加するつもりはないよ」
「そぉ?千雨ちゃんいい線いくと思うんだけどねぇ」
「はぁ?」
「なはは、知らぬは渦中の人間だけってか」
面白そうに笑う朝倉を千雨はうざったそうに見る。
それをニヤニヤしながら見返してくる朝倉が心底うざったい。
この年頃の女子は1に恋愛2に恋愛、3・4がなくて5に恋愛だから仕方ないと言えば仕方ないのだが、その手のことに極めて関心の薄い千雨にとっては至極迷惑な話だ。
何をフラグと見ているのか知らないが自分とネギの間に朝倉が期待するような事など何も無い。ネギが敢えて自分にだけトリップトリオのことを話してきたのにはそういう感情があったからというわけではないのだから。
それに、仮にネギがその手の感情を持って近づいて来たのだとしても千雨としてはお断りだった。
あのセンセーはどうにも自分とは合わない。

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