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◆AIo1qlmVDI 氏
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502 名前: ◆AIo1qlmVDI [sage] 投稿日:2008/03/17(月) 10:42:01 ID:SvAZNi0L
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「長谷川君を?えっと、その場に居たのは君だけで間違いはないかい」
「私だけです。聞き耳立ててる奴がいたかどうかまでは知りませんけど」
「うん、それで?」
「近衛サン桜咲サン神楽坂サンの無断欠席してる、って相談を受けました。
話したのはその程度です。
で、翌日位にあの退学届が来て高畑先生の所に乗り込んできた、って感じですね」
あの時は遊びたい年なんだしそう騒ぐ事じゃないとか言ったんだよな、と記憶を確かめるように慎重に思い返す。
「……そうか。
その時はネギ君、恐らくEに会ってはいなかったんだね。後で前後関係をネギ君に聞かなくてはな」
「あの」
「なんだい?」
「その、『E』っていうのは」
「あぁ、うん。
ある人物の兄弟のコードネームみたいなものさ。
彼の名前に鷹の一字があってね、鷹を意味するイーグルから来ている単純なものだよ」
「……はぁ」
「僕からばかりで悪いけど、何故ネギ君に相談を受けたのか聴いていいかい」
「大した理由じゃないです、
…………大した理由じゃ」
千雨が口篭ったので高畑が怪訝な表情を向けた。
今になって失敗した、と思った。
高畑が自分にどんなイメージを持っているか知らないし興味もないが、間違いなくネットアイドルをやっているとは思っていない。知っているのはネギだけだ。曰く、ファンで毎日閲覧している、とか。
そのネット活動に通じるものがあり相談を受けた、などとは口が裂けても言えない。否、死んでも言えない。いつだったかビシっと言ってやった言葉に尊敬の意を抱かれてしまったのも要因のひとつだ。
高畑はそこまで年を食ってはいないが物心着いたころにはネットが普及していた千雨とはそれに対する考え方も印象も大分違う。正確なところはわからないが、多少の差異はあるだろう。
恥を覚悟で……言うしかないのか。
いや、無理だ。無理無理無理無理。
ならば残るは…………
「わ、私、ですね」
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503 名前: ◆AIo1qlmVDI [sage] 投稿日:2008/03/17(月) 10:42:36 ID:SvAZNi0L
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「うん」
「ネギ先生と、ですね、その、
…………お、おぉ……おつおつつお付き合いさせて…………戴いてまして、それで、あの」
「あ、あぁ、それは野暮な事を聞いてしまったね、あは、はは……、
あは……、は、ネギ君も隅に置けないなぁ、はは」
真っ赤になって膝上で握り拳を固めぷるぷる肩を震わせるその姿は、隠していた彼氏の存在が周知となり恥ずかしがっている、ように何とか見えなくもなかった……。
「いや、まぁネギ君も男の子だし、……って所はいいんだけどね、うん。
本題に入らせてもらうよ」
かなり念入りにネギに言い含めなければ、と必死で考えていた為に千雨は高畑に返事をするのを忘れてしまった。
「……長谷川君?」
「わひゃぃ!!」
「……すまないね、個人の事情に首を突っ込んでしまって」
高畑はネギと千雨の仲を信じたらしく、それを知ってしまったことを職権乱用と捉えたか気に病んだ様子だった。
「あ、あの、…………あんまり気にしないでください。
誰かに言わなければ構わないですから」
「そう、かい。いやしかし……、すまない」
「いえ、私も気にしませんから先生も」
「……あぁ、悪いけどお言葉に甘えさせてもらおう」
「はい。本題を」
「そう、だね。
単刀直入に言おう。回りくどく言っても仕方がない。
近衛木乃香君。君のクラスメートはね、超が付く……強力な魔法使いなんだ」
「……………………………………………………………………………はぁ」
「驚いたかい」
「いや、そりゃ、……まぁ」
「もう少し呆気に取られるかと思ったよ」
高畑は笑いながら湯飲みを傾けた。が、中身が入っていなかったようですぐにそれを戻した。
若干温くなっていますけど、と千雨が言って注ぎ足す。
「あぁ、ありがとう。
あんまり驚いていないなら話がしやすいね。じゃあ続けるよ」
「はい」
本当は大分驚いていたが千雨はあまり感情が表に出るタイプではなかった。
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504 名前: ◆AIo1qlmVDI [sage] 投稿日:2008/03/17(月) 10:43:06 ID:SvAZNi0L
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「仮契約、って知っているかい?」
「いえ」
「魔法使いはね、援護に回るかその逆かは決まってはいないけれど、戦力上パートナーを必要とするんだ。まぁ、ネギ君のお父さんのように例外はあるけれど、大抵の魔法使いはパートナーを探している。ネギ君も魔法使いだからね、それの最中だ。
簡単に言うと仮契約というのは最適のパートナーを得るためのお試し用品のようなもの、と考えてくれるかな」
「…………はぁ」
「仮契約は魔法使いであれば極端な話、何人とでも可能だ、お試しだからね。
その分本契約には劣るけれどそれでも強力な能力を仮契約者に与えることが出来る」
「え、あ、ちょっと待ってください、その契約、ってそもそも……?」
額に手をやりながら千雨が呻き気味に言う。
「魔法使い、つまり術者と契約と呼ばれる儀式を行うことで対価として強力な能力を付与される事、……かな。少し違うけど相違というわけでもないね。
明日菜君は最も早くネギ君と仮契約を結んでいる。結果彼女は通常では有り得ない身体能力を得た。まぁ元々明日菜君は飛び抜けて運動神経が良かったせいもあるけどね」
「は、はぁ……」
「あまり長々と話すわけにはいかないから多少端折るけど、この先の話を飲み込んでもらうために理解してもらいたいのは、魔法使いはパートナーとなる者を探している、ということだ。
正式なパートナーになるというのはね、本契約を結ぶという事なんだよ」
「本、……契約」
「そう。パートナーとは最高の相方、と言ったところだね」
「は、はぁ…………」
既に言葉がこれしか出てこない。
魔法使いって、おま……と言いたいのを必死に堪える。高畑が冗談を言う人間にも思えず千雨は頭を抱えたくなった。
ファンタジーはお話の中だけにしてくれ、現代社会で罷り通る話題じゃないだろう!!
「そして、木乃香君は魔法使いだ」
「……パートナーを、探している?」
「ご名答。
彼女はね、桜咲刹那君との本契約を望んでいた」
「望んで、いた……?」
それが過去形で語られたことに疑問を持つ。
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