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941 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2008/01/28(月) 20:43:01 ID:Oiuc8j0a
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「あんな?」
「はい」
もうじき桜も終いな3月半ば。
見納めの為に2週間前に走ったあの並木通りを歩きながらお嬢様が言った。
その目はどこか遠い所を見ているような気がして、視線を辿る。
先には蒼い……蒼い空。
少し目を瞑っている間に風は初夏のそれに変わるのだろう。
それくらい澄切った空だった。
「あの、真面目な話……したい」
「は、い」
目線は合わない。
だから同じ空を、雲を観る。
「ウチな」
学生鞄が心許無げに主の手で揺れている。
…何をおっしゃるのだろう。
その揺れはきっとお嬢様の戸惑いを表している。
そう…感じたから、少しだけ迷ったけど空いた片手を取った。
空は綺麗で眺めるのは好きだけど、あなたのほうが綺麗だから。
……目線、揃いましたね。
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942 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2008/01/28(月) 20:43:45 ID:Oiuc8j0a
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「…あ、ぇ、えと……」
つないだ手は照れくさいのを所在無さで隠そうとしているのか、もぞもぞ動いた。
「聞きますよ」
きゅ、と気持ちを指先で伝える。
何を話してくれるのかはわからないけど、でもあなたが話すことならば私は何だって聞いて差上げたいのです。
私は従者であり、同時に守護者。
そして、……あなたを想う者。
「う、ん。
えっと、な?前…から思っててんけど、ウチ…な」
「はい」
「せっちゃんが、……ウチの、ウチ、せっちゃんと、
本契約、出来たらな……思ってて、な?」
「はい」
「だから………それを、あの、せっちゃんに……聞いて……ほしかった。です」
「はは」
語尾が敬語だったのがこの人の緊張を物語っていた。
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943 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2008/01/28(月) 20:44:15 ID:Oiuc8j0a
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「………笑うとこちゃうわー………」
「あはは、すみません」
「だから笑うとこ違うー」
「…すみません。
嬉しい、です」
「………ほんと?」
立ち止まって、ぽんぽん、と頭に触れた。
「正直なところ若輩の身には余る重責ですし、……私に務まるかどうかもわからない。
だけど今の立場を…私は…正当化したい。
だから、だから、お嬢様がそう望んでくださるのなら……私は……謹んで、」
「うん!」
言い終わらないうちに抱き付かれて、残った言葉は宙に洩れた。
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