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459 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2006/02/21(火) 23:19:55 ID:mbvKitk4
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「マスター、これらは何に使うおつもりだったのですか?」
茶々丸さんはキッチンに入るなりそう言った。
キッチンの中は調理器具でごった返している。
「・・・・・・・・」
エヴァンジェリンさんは黙って俯いている。何も言い返さないなんていつもの彼女と違い
私は少しだけ驚いた。
「ヤッパリ出シ過ギダゼ ケケケ」
「姉さん、マスターも一生懸命頑張ったのですから・・・」
茶々丸さんはテキパキと不必要な道具を片付け始めた。
ご機嫌斜めなエヴァンジェリンさんは二階の自室へと行ってしまった。
「エヴァンジェリンさん すごく怒っていませんか?大丈夫でしょうか。」
「平気ダゼ。スグ機嫌直ルダロ。御主人ヘソ曲ガリダカラナ」
チャチャゼロが言い終わると同時にクッションが飛んできた。
(ボスッ・・・)と鈍い音がして、机の上にいたチャチャゼロはクッションと共に床へ落ちた。
クッションが飛んできた階段へ目を向けると、顔を赤くして毛を逆立てたエヴァンジェリンさんが
ドスドスと足音を響かせて上へ上がって行った。
「あぁ、姉さん。」
「イテテテテ」
茶々丸さんはチャチャゼロを抱き上げると私の耳元で囁いた。
「マスターは地獄耳なのです」
「ウケケケ」
エヴァンジェリンさんには悪いけれど、彼女たち3人の組み合わせはどうにも可笑しい。
私はこらえきれなくなって声を立てて笑ってしまった。
二階の彼女は今頃クシャミをしているだろうか。
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460 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2006/02/21(火) 23:21:06 ID:mbvKitk4
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「セツナさん お上手ですね。とても初めてとは思えない手付きです。」
「お菓子作りは初めてです。料理とかは多少作りますが。」
初めて挑戦するお菓子作り(・・・と言っても固めるだけのチョコだけど)は意外と楽しかった。
甘い香りに包まれてキッチンに立つのもなかなか良い。
甘い匂いに誘われてエヴァンジェリンさんも上から降りてきた。
チャチャゼロの読みはなかなか当たっている。
「いい匂いがするな。まだ出来んのか?」
湯せんにかけて溶かしているチョコを覗きながら彼女は鼻を動かした。
「火力が足りんのではないか?火よ灯れ(アールデスカット)」
「!!あつっ!!」
突然炎は大きくなり、あっという間にチョコは溶けたが・・・。
「マスター!火力が強すぎます!!」
「オイオイ、キャンプファイヤーカヨ」
チョコからは何やら香しい香りがしてくる・・・。
茶々丸さんが急いで火から離して様子を見た。
隣では口をへの字に曲げたエヴァンジェリンさんがチョコを見ていた。
「あぁ・・・少しコゲてしまったようですね・・・。でも、これ位なら大丈夫だと思われます。
セツナさん手は火傷していませんか?」
「私は大丈夫です。」
『チョコさえ無事ならば良いのだが・・・』
先ほどよりも若干黒くなってしまったチョコを全員で見つめていた。
しばし重い空気が4人の間を流れる。
「・・・あとはチョコを型に流して冷ますだけです。急がないと固まってしまいます。」
沈黙を破ったのは茶々丸さんだった。
ハート型の容器に急いでチョコを流し込む。
コゲ臭い気はしたが、チョコの甘い香りが空気を含んで伝わってくる。
無事とわかってかエヴァンジェリンさんはソファで寝息をたてた。
『手伝ってくれているのはわかるんだけどなぁ・・・』
彼女の寝顔を見てそう感じていたのは私だけではなく、やれやれといった顔で
2人の従者は顔を見合わせていた。
何はともあれ後少しだ。お嬢様の為の私の初めての手作りチョコ。
お嬢様は本当に喜んでくれるだろうか・・・。コゲ甘臭いチョコに少し不安を覚える。
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461 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2006/02/21(火) 23:30:23 ID:mbvKitk4
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「わぁっ。」
冷蔵庫から出したチョコは可愛くハート型に固まって、キレイに光を反射させていた。
「キレイに出来て良かったですね。」
茶々丸さんも隣で喜んでいる。
私の声で目を覚ましてしまったのか、エヴァンジェリンさんが目を擦りながらこちらへ向かってくる。
「出来たのか?」
「あとは飾りつけだけです。」
そう言って茶々丸さんが取り出したのはホワイトチョコのペンシルだった。
「これで名前を書くんですか?」
「はい」
と、茶々丸さんが言い終わらないうちに横からにゅっと手が伸びてきた。
「私にもやらせろ」
エヴァンジェリンさんはチョコとペンシルを鷲掴みにすると
「絶対こっちを見るなよ」
とだけ言い、何やらゴソゴソやり始めた。
触らぬ神に祟りナシ。彼女が真剣にやってる間に私も終わらせてしまおう。
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