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155 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2006/07/29(土) 18:35:16 ID:xWwS2vQV
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私自身が腑抜けてしまっては護衛の意味がなくなってしまう。
…全く、罪な方だ。
約束の10分前にドアを叩く。
開いたドアから、制服の上から淡いピンクのエプロンを掛けたお嬢様が半身を覗かせた。
…幼妻、という単語が脳裏をよぎる。
って、何を考えてるんだ私は…
「せ〜っちゃん♪
待ってたで〜」
そんな事考えてしまったなど露とも知らず、お嬢様は私の手を引っ張り部屋へと招き入れた。
「あ、あの…
お邪魔、します…」
おずおずと言うと、お嬢様はお邪魔なわけないやろ、と笑った。
部屋にはとても美味しそうな料理の匂いがして、冷水をぶっかぶってから改めて稽古を始めた私のおなかを刺激する。
手伝うと申し上げたのだが、座っててや、と言われたのでおとなしく待っていると台所からお盆に手料理を乗せたお嬢様が出てきた。
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156 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2006/07/29(土) 18:38:12 ID:xWwS2vQV
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「あんま美味しないかもしれんけど…」
いや、とんでもない。
色とりどりに盛り付けられた料理は、どれもが料理番組に出られそうなくらいだ。
―口下手な私はそんな長い褒め言葉は言えなかったけど。
「…どやろ?」
「ぅおっ、いしいです!」
なんて言ったらすごく美味しい、という事を伝えられるだろうと考えていた最中に聞かれたので、一番格好のつかない言葉になってしまった。
…というか噛んだ…
「せっちゃん慌てすぎやわぁ〜
…ありがとな、作った甲斐あったで」
お嬢様は照れ笑いを浮かべながら、私の口の横に付いていたごはん粒を取った。
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157 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2006/07/29(土) 18:40:44 ID:xWwS2vQV
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「なんや新婚さんみたいやねぇ、ウチら」
「ぶほッ!!!
ししししし」
「新婚さん♪」
無邪気に言われるものだから、却ってはずかしい。
「これでちびせっちゃんもおったらほんま家族みたいやん?
…どないしたんせっちゃん、顔タコさんみたいやえ?」
どうやら今私は茹で蛸の如く、
―真っ赤らしい。
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158 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2006/07/29(土) 18:41:30 ID:xWwS2vQV
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「風が気持ちええなあ…
な、せっちゃん?」
ベランダに出て、夜風に当たりながらお嬢様が言った。
「日中の暑さが嘘のようですね…」
見つめる空に、星が瞬く。
まるで空にダイヤモンドでもばらまいたみたいで…
「ほんま、キレイやなー…」
「―本当に」
心からそう思った。
―あなたと見ている星だからかな。
「暑いん苦手やから夏、あんまり好きやなかったけど…
せっちゃんとこんなキレイな星、見られるなんて夏も悪ないな♪」
「私も…そう思います」
同じこと考えてくれたみたいで…なんだかうれしくて、
幸せだなぁ、と思った。
無邪気に笑うお嬢様の手に右手をそっと重ねる。
どちらかという訳でもなく、自然に顔を寄せた。
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