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| 69 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2007/01/20(土) 00:34:42 ID:lm2P+/P7 | ||||
言いながら、やっと箱へと向き直り丁寧にリボンと包装を剥がす。 びりびりと破いてしまわない辺り、やはり真面目な性格である。 しばらく経って。 「ふぅ。大きいから流石に剥がすのにも手間がかかったな」 やっとすべての包装を剥がし終わり、一息つく。 睡眠薬の件もあるので、変な物でも入って居るのではないかと多少警戒したのだろう。 夕凪はすぐに手の届く位置に引き寄せてあった。 「お、今からあけるのか」 丁度、タオルで顔を拭きながら戻ってきた龍宮を背に、刹那はやっと箱の蓋に手をかける。 ホールケーキの箱と同じく、底以外全部が蓋になっているので、 下側からゆっくり持ち上げて、 あけた。 そのままの表情と姿勢で固まる刹那。後ろから覗き込んで、動きを止めた龍宮。 その視線の先に見えるのは 「すぅ……すぅ……」 静かな寝息をたて、クッションを枕に気持ちよさげに丸まって眠る近衛木乃香の姿であった。 もちろん服装は、前述のとおり 『大き目の男物のワイシャツだけを着て、犬耳しっぽを生やし、リボンを首に巻く』 ……という至極マニアックかつあやしいもので。 刹那が呆然とした拍子に、外した蓋がぱたりと向こうに倒れる音がして、やっと二人は我に帰った。 | ||||
| 70 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2007/01/20(土) 00:35:28 ID:lm2P+/P7 | ||||
「お……おおおおおおお!?」 刹那は多分「お嬢様」と言いたいのだろうが、驚きやら緊張やら、 ついでに視線がはだけたワイシャツの隙間のほうに行ってしまった事に対する罪悪感で まともにろれつが回っていない。 一方、同じく動きを止めていた龍宮は。 「こ……こいぬ……」 謎の言葉を呟きながら、徐々にじりじりと箱へと近づいていく。 いかにも真剣な表情で、ちょっとだけ口の端が持ち上がっている辺りが とても危ない人のように見えなくも無い。 そして、手の届く範囲内までたどり着いた途端、 「仔犬―――――ッ!!!!」 がばぁ!!と音がしそうな勢いで飛び掛る!しかし。 「お前は犬耳としっぽがついていればなんでもいいのかああああああ!!!!」 直後、お嬢様の危機(?)に反応して復活した刹那に、 鞘に収めたままの夕凪で部屋の窓から盛大に叩きだされる事になった。 「まったく、油断も隙も……」 荒く息をつきながら刹那が床に座り込んだところで、後ろでごそりと音がする。 振り向くと、箱に敷かれた毛布の上で寝ていた木乃香が起き上がっていた。 先ほどの騒音で目が覚めたばかりなのだろう。まだ眠そうに目をこすっている。 | ||||
| 71 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2007/01/20(土) 00:36:05 ID:lm2P+/P7 | ||||
「ん……ふわぁ……あ、せっちゃんやー」 一度大きく欠伸をしてから、刹那に気付いた木乃香が微笑んだ。 「お!?お、おはようございますお嬢様!!」 「おはようさん」 かくして、状況は冒頭へと戻る。 「プレゼント……えっと、それは」 頬を赤らめ、困惑する刹那。 微妙に意図を理解しかねているらしい。いや、解っているが信じられない、といったほうが正しいか。 「もしや、お嬢様が……?」 「そうや、『ウチがプレゼント』や!」 祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。 そんな言葉がよぎったかどうかは知らないが。刹那の脳内にごぉんと鳴った鐘の音。 それは理性と煩悩による仁義無きバトルの開始を告げるゴングとなって、頭の隅々まで響き渡る。 赤コーナー、現在までは常勝無敗を誇る理性さん。 青コーナー、いつもは負けて押さえ込まれる煩悩さん。 けれど今回は目の前の状況という味方をつけて、煩悩さんがいつに無く力を発揮する! 取っ組み合いを続ける理性と煩悩の戦いが次第に白熱し、 とうとう理性が追い詰められるか、といったあたりで。 「……っちゃん!せっちゃん!!」 | ||||
| 72 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2007/01/20(土) 00:36:51 ID:lm2P+/P7 | ||||
いつの間にやらガクガクと揺さぶられていた自分の頭に、刹那はやっと気がついた。 「は!すいませんちょっと意識が勝手に暴走しまして……」 「もー、突然動かなくなってもうたから、心配したえ」 「あは、あははははは」 なるべく下の方に視線が行かないように気をつけながら、刹那は笑う。 「それでな、続きなんやけど」 木乃香はそんな刹那の苦悩に気付く事無く、頭の犬耳をぴこりと立てて、にこやかに話を続けていく。 「つまり今日一日、ウチをせっちゃんの好きなようにしてええよーっていうのがプレゼントなん」 「ぐはぁ!!!」 やっと気持ちが落ち着きかけたとおもった矢先、次の爆弾投下。 まるで無防備な所に全力のボディブローでも食らったかのように前のめりに崩れ落ちる刹那。 「せっちゃん?せっちゃん!?」 慌てて駆け寄って木乃香が介抱しようとする。 しかし、鼻を押さえてよろよろと起き上がった刹那は、それを手で制して後ろを向く。 なんとかベッドまでたどり着いて、タオルケットを布団の下から引っ張り出した。 「おじょうさま……そのかっこうではさむいですから、とりあえず、これを」 何故だか少々たどたどしい口調になりながら、 広げたタオルケットを木乃香の肩からかぶせてぐるっと一回巻いた。 危ない部分は見えないように、覆ってしまおう大作戦。 | ||||
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